主演 ケビン・コスナー ブルース・グリーンウッド /監督 ロジャー ドナルドソン (アメリカの時代劇) 満足度 5
第3次世界大戦勃発か!?と世界を震撼させた(らしい)キューバ危機のドキュメンタリー風映画。主演のケビンコスナーがあまり目立っていないほどストーリーで見せてくれる。息つく暇もないほど危機が何回も訪れるので、疲れる映画かもしれない。
私はもちろん戦争反対だが、過去の人々の大多数も戦争反対だったと思う。ところが結局戦争に突入していくことになる。つまり戦争はよほど気をつけていないと今でも十分起こりうる危険性があるということだ。私たちが学校で「歴史」
を習う理由の一つに「過去から学ぶ」という意味があるはずだ。しかし今のところ受験勉強のための暗記科目になってしまっていて、目的が達成されているとは言い難い状況だ。この映画では途中で何回も戦争に突入しそうになるが、なんとか外交政策を
中心に戦争を回避した非常に重要な具体例だと思う。そしてその要点は「優れたリーダー(大統領)を選んでいた」という点であったことがとても良く分かる。頭のいい人間が寄って集って考えても「戦争(爆撃)やむなし」という結論しか出せなかったのに
、当時のケネディ大統領とその側近は、なんとか戦争回避の方法を見つけだし実際に回避する事ができた。(有名な海上封鎖策)また、自分の身近な地域の事に置き換えてみると、リーダーの条件、決断というものはどういうものかということが見えてくる。戦争突入を強く主張する軍部は地域でいえば
声の大きいうるさ型の人たちだ。ここでもリーダーは有能なブレーンを持ち、自分の考えをしっかり持ち、周りの有力な声に惑わされず、とにかく「最良の案を考え出す」態度が大切だと教えてくれる。親が子供にふるう体罰も、ひょっとしたら戦争の小さな芽なのかもしれない。
若干キューバ危機の予備知識がないと、筋を追っていくだけで疲れてしまうかもしれないが、この映画はいろんなことの示唆に富む映画だと言える。
おすぎが大絶賛だったのもよくわかる。 2001、1.17
主演 藤原 竜也 前田 亜季 /監督 深作 欣二 (バイオレンス型青春メッセージ) 満足度 5
国会でも残忍な描写が議論された話題作。確かに殺しの場面はリアルだがこの映画の中心はそこにはないことはすぐ解るので(中学生でも)そんなに目くじらを立てることはないと思った。
この作品を観てまず感心したことは監督の深作欣二はもう70才なのによくこんな映画を撮れるなあということだ。たしかに大人を代弁する教師キタノのセリフは多くなってはいるが「いつかギラギラする日」以来の
疾走する深作ワールドは健在である。この作品の見所は「セリフ」だ。それはセリフのいくつかがわざわざ「字幕」になるところからも推測できる。特に10代の若者が観たときは必ず心に残るセリフが1つ2つあるはずだ。
途中の生徒達が殺されていくシークエンスはやや冗長に感じられたがラストの「走れ」というメッセージは、この生き続けていく意味を見いだすのがむずかしい現代に、それでも「生きろ!」という監督からの一つの解答だと思う。
私も今自分が生きていることは多くの人の死(たとえば先祖)の上に成り立っていたんだと改めて気づかされた作品である。
登場人物の中では、好きな女性を捜し続ける「杉村」は自分に近いなあ?と思ったし、カマを片手に殺しまくる
相馬光子(紫咲コウ)の美少女ぶりは白眉だ。 2001,1.7
主演 ハリソン・フォード ミッシュル・ファイファー /監督 ロバート・ゼメキス (停滞型サスペンス) 満足度 3
前半の4分の3は駄作。終盤の4分の1は傑作。結果的に無関係だった隣家との関わりなど、前半は一向にサスペンスが盛り上がらない。欠点としてはホラー映画を目指すのか
サスペンス映画を目指すのか腰が据わっていないように見えるところだ。また、失踪事件が物語も後半を過ぎてから突然明らかになってくるのもアンフェアな感じがする。
ハリソンフォードは悪役として特に終盤は活躍しているが、新境地を開いたというより今までのイメージから考えて、いまいち突き抜けていない気がしてしまう。(新しい魅力発見とは言い難い)ミッシェルファイファー
は「ストーリーオブラブ」でのブルース・ウィルスの妻役に続いて愛人役からいよいよ妻役が板についてきた印象だ。湖底からトランクを見つけだして以降のサスペンスは「ヒッチコック作品」
を彷彿とさせるすごい盛り上がりで一見の価値はある。それが故に前半のリズム感のなさがよけい残念である。 2000・12,17
主演 キャメロン・ディアス ドリュー・バリモア /監督 マックジー (お色気脳天気アクション) 満足度 4
これはいい!フルコースで言えば「デザート」のような、つまり主菜でも前菜でもないような、いわゆる主流派の映画ではありませんが楽しい映画でした。約20年前「ファラ・フォーセット、ケイト・ジャクソン、ジャクリン・スミス」がそれぞれ「ジル、サブリナ、ケリー」役で出演したいた人気TV番組の リメイクである。それと比べると「女優の質」に??。なんか映画版はキャピキャピしすぎていないかい?と言いたい節もあるが、それはそれで特徴をいかした、より脳天気な作風にバッチリあっている。ストーリー的にもやや無理はあるものの大きな破綻はなく、ディアスはかわいらしさ、ドリューは力強さ?、もう一人の ルーシー・リューはアクションとそれぞれ見せ場あり、バランスの取れた作りになっている。しかしなんといっても3人のエンジュル達がいろんなコスチュームで登場し、いろんな意味で目の離せない活躍をしてくれるあたりが最大の見せ場であることは間違いない。あと「マトリックス」のパロディもあります。 2000、11.27
主演 クリント・イーストウッド トミーリー・ジョーンズ /監督 クリント・イーストウッド (スペースファンタジー) 満足度 3
あと一歩で宇宙飛行士となるはずだった、「チーム・ダイダロス」はチンパンジーにその座を奪われた。しかし60才を過ぎた今、ロシアの通信衛星を修理するために再びメンバーが結集し、若い宇宙飛行士とともに厳しい訓練を乗り越えついに夢の宇宙に出発する。しかしロシアの通信衛星には とんでもない秘密が隠されていた!・・・というのは見る前の映画の紹介文なのだが、結局映画全編もそれ以上にはならなかった。というのが感想です。なかなか面白そうな題材だなあと期待した割には、見た後もそれ以上の興奮はなかったというところでしょうか。「通信衛星の秘密」もほとんど予測できるものだし 「がらくたチーム」が宇宙へというのは昨年すでに「アルマゲドン」がやっています。ただ一つ「老人が宇宙へ」(老人と言って良いのかな)という事のみは、私が65才ぐらいになったとき再見したら今とは違って何か感じることが増えるかもしれません。なぜトミーリージョーンズは参加することにしたのか? なぜ宇宙に残ると決めたとき割合簡単にそれを許したのか?なぜトミーとNASAの女性職員は急にいい仲になるのか?納得できないことの山である。 2000,11.27
主演 パトリック・スチュワート アンナ・パキン /監督 ブライアン・シンガー (SFチーム活劇) 満足度 4
コミックヒーロー物はバットマンをはじめ「暗い」物語が多いのだが、このXーメンはミュータント(超能力者)の悲しみは描いているものの、ストーリーがしっかりしていたので、非常にまとまった印象を受けた。コミックを知らない私としては「どんな能力があるのだろう?」という興味と チームとして行動するときのチームワークなど見所を押さえ、良いミュータントと悪いミュータントの対決というわかりやすい作りになっていたのも好印象だった。メンバーではアメリカでも一番人気があるという「ウルヴァリン」が映画の中でも主役級でなかなか魅力的に描かれていた。 ただし「マトリックスを越えた」というコピーは異質の物を比べている印象で、それぞれに違った良さがあると思う。なんと言っても「スタートレック・ネクストジェネレイション」のピカード艦長(パトリック・スチュワート)に再会できたのはうれしかった。(物語のストーリーとは関係なし) 2000,11.4
主演 ミア・フライアー ガーランド・ウィット /監督 フレッド・ギャルソン (フランスムードのアメリカ青春物) 満足度 4
リックベッソン制作・脚本。英語を話す(主人公は話せないが)アメリカの物語だったが、見終わった印象は「フランス映画」だった。女性を主人公にしたときの「やさしくなめらかに心情を描写するところ」と恋に落ちる相手が「軟弱そう」なところがそういう印象を持たせたのかもしれない。 ダンサーの物語に科学者が関わってきたところでこれは「フィフスエレメント」になってしまうのか!と危惧したが、杞憂に終わりストレートな青春物語に落ち着いている。天才ダンサーなのだが生まれつき声が出ない主人公、人は良いがすぐ切れてしまうため定職につけない兄、そこに関わってくる 行き詰まっていた青年科学者がうまく物語を展開している。特に才能ある妹をより大きな舞台に立たせるためにマネージャーを降りるという兄とそれを説得する主人公との場面は感動的である。終わり方がやや唐突な気がするが新人初監督の、荒削りだが活きの良さが感じられる好感の持てる作品だった。 家に閉じこもっていないで、外に出ることも重要ですね。 2000,10.17
主演 マシュー・マコナヘイ ビル・パクストン /監督 ジョナサン・モストウ (Uボートその2風) 満足度 4
観客2名。戦争もの・潜水艦ものとしてはわかりやすい展開。艦長になれない副長の悩みも折り込みドラマ性をもたせているが、あまりにも読み通りの展開だったので感動は今一つ。(たとえば
ラストでハーベイ・カイテルが「あなたの船ならいつでもお供します」と発言するあたり)どこかで見たようなセリフ・展開が出てくるので、映画通は2度楽しめ?るかもしれません。
ドラマの色調はエンターテイメント的だった「レッドオクトーバーを追え!」より「Uボート」に近く、破綻の少ない秀作だ。しかし「Uボート」と比べると少し完成度の高さで見劣りがしてしまうのは仕方がないところか。
アメリカの物語なのに題名が何故U571なのかは
映画をみればわかります。 2000,9、16
主演 織田 裕二 松島 菜々子 /監督 若松 節朗 (ダム版ダイハード) 満足度 3
冬の巨大ダムをバックにしたスケールの大きさは好印象。日曜日に見たのだけど観客は満員でした。ヒットの予感はします。物語は、一人ダムを占拠したテロリストから逃げ延びたダム作業員の富樫が活躍して、放水を止めるあたりまではなかなかテンポがよかった。しかしその後フィルムを切りすぎたのか解りづらいところがだいぶあった。なんと言っても、親友の吉岡に、彼の婚約者であった千晶を託された富樫が、
遺言に従って彼女を守るために歯を食いしばるという大筋は良く分かったのだが、観客であるこちらはダムのことに関しては全く素人であるので、富樫が何を考えて今行動しているのか、その行動にはどういう意味があるのかがわかりにくかった。(雪をかき分けて歩いていて大変そうだけれども、テロリストにどういう一撃を加えるためにこんな事をしているのかな?・・・という感じ)次に「寒さ」「凍える感覚」が紙を燃やして暖をとる場面以外はあまり強調されていなかった
のでこの物語のバックである「自然の驚異」がもう一つ胸に迫ってこなかったということだ。その欠乏が、最後に富樫が、千晶を抱きかかえて雪原を歩いてくる美しい場面も、所長の「彼は3ヶ月後に約束を果たした」という言葉も今一つ感動的に響いてこなかった要因だと思う。
ただ、エンターテイメントとしてみた場合は、少なくともMI−2と同等ぐらいのレベルには
達していると思える。邦画としては佳作だと思う。織田裕二は熱演。 2000,8.27
主演 トム・クルーズ サンディ・ニュートン /監督 ジョン・ウー (007風アクション) 満足度 3
大ヒットのMI−2やっと見ました。トムクルーズも年をとったなあというのが第一印象です。車やバイクがガンガン壊れてアクションはすごいのだけど、今一つ「ハラハラドキドキ」がなかったので、「あー面白かった」で全て終わりという映画になってしまいました。ただ、トムクルーズファンは十分満足できたのではないでしょうか。 TVの「スパイ大作戦」をオンタイムで見ていた身としては、「チームワーク」(大脱走のような)が今回描かれていなかったのが残念でした。ストーリーの展開はよかっただけに今一歩の内容の掘り下げが欲しかったです。 2000,8.7
主演 ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス /監督 リドリー・スコット (中世スペクタクル) 満足度 3
主人公マキシマス将軍役のラッセル・クロウがカッコイイです。久しぶりのローマ帝国物ですがわかりやすいストーリーと、心地よい「ヒーローカムバック物」で十分楽しめました。では何故点数が辛いかというと、マキシマスが処刑されそうになるまでが非常に長いということ、善人・悪人がはっきりしていてわかりやすのですが、今一つ胸に迫る感動がなかったことなどが原因です。 とはいえ、奴隷に身を落としてからも持ち前の統率力と人望で市民のヒーローになっていくサマは心地よく対照的にコモドゥス新皇帝の矮小ぶりがよりはっきり表されていて、描き方の深さでは果たしてどちらが主人公か?というぐらいでした。また、戦闘場面の「絵」と迫力は映画館で見るべき映画だと言えます。「家族」をテーマにしている点では「アメビュー」と根本は同じです。 2000,7.6
主演 ジュリア・ロバーツ アルバート・フィニー /監督 スティーブン・ソダバーグ (社会派・女優ものノンフィクション) 満足度 4
もうずっとジュリアの胸元ばかり気になってあやうくストーリーを見失うところだった。この映画はいろいろなジャンルで見ることができる。すなわち失業中の元ミス・ウィチタの女性の成功談、子持ちの母としての正義感で公害訴訟を闘う社会派物、仕事と家庭の両立と男女のあり方を問う物語の3点だ。しかしそのどれもが
物語が比較的単純にわかりやすく展開するので、ラストの「ボーナス200万ドル!」に至る展開が、心地よく受け入れられる。また、「ベストフレンズ・ウエディング」あたりからセリフのない間も演技できるようになったきたジュリアの、アクトレスとしての成長と、安定感のある脚本に裏打ちされてこの痛快な実話が「秀作」として花開いたと言えると思う。
世の中あまり
事柄の内容を知りすぎると「良い悪い」の判断が鈍ってしまうのは私も経験しているが、この映画では、無学で法律に詳しくなかったいわゆる「素人」のエリンが、人間としての直感で「おかしい」と気づき(不動産売買の案件に健康診断書が添付されていた場面)しかもその純粋な気持ちを継続して被害者の聞き込みを続ける場面が丁寧に挿入されている。また、
最終的には大企業相手の公害訴訟にまで持ち込んでしまう「強さ」は感動的である。エリンに関わることによって正義感に目覚めていく上司役のアルバート・フィニーも好人物に描かれ好演だ。
この映画でエリンの成功は単なる偶然ではなく、ちゃんと「彼女だったから」
ということがよく説明されている。裏表のない、多少マナーにはかけるがバイタリティーの固まりのような(しかも生活がかかっていた!)エリンの魅力に私も引き込まれてしまった。エリン本人がウエイトレスで出てきたが、本人はジュリアには華やかさでは負けるが、知性と落ち着きでは勝っているような印象だった。
(確かに元ミス・ウィチタだと納得した)この世の中「良い悪い」を感じる感性をもう一度磨き直して、おかしいことには声を上げる勇気が必要だと改めて思わされたお気に入りの1本である。 2000,6.10
主演 ケヴィン・スペイシー アネット・ベニング /監督 サム・メンデス (辛口ドラマ) 満足度 4
本年度アカデミー作品賞。昨年の作品「トゥルーマンショー」が斜から見たアイロニーとすれば、この作品は正当派アイロニーだ。20年程前の作品に「普通の人々」という有名な映画があったが、2000年の「家族の姿」はより過激に変貌したと言えるのだろう。この映画の優れている点は非常にリアリティがあるということだ。
たとえば娘が豊胸施術のネットをみているところとか(でもあれだけ豊かなら必要ないのでは?と私は思ったけど)惚れた娘の「筋肉がついたら・・・」の言葉に単純に身体を鍛え始めてしまう父の姿(男は単純なものなのです)仕事上の向上心がやたら強すぎる妻。(おっとこれは我が家特有のことかも)「ビールをこぼさないでね」
にはひとごととは思えず笑ってしまった。バラバラだった家族がそれぞれ自分のやりたいことをみつけ個人的にはそれぞれ充実してくるが、結局家族としては破滅に向かってしまったという結末は、辛口だが「家族のあり方」を大いに考えさせてくれると思った。また、この映画をより深いものにしている2つの裏切りがなかなか決まっていた。
すなわち、発展家だと思われていた娘の友人が実は処女だったことと、ゲイを軽蔑していた隣家の退役軍人の父が実はゲイだったことである。この2つは人間の外見と真実の姿のギャップを表していて人生の悲しみが感じられた。
個人的には妻キャロリンの行動が今一つ理解できなかったがこれは私の人生経験の不足のためだろうか?この映画のような外見は普通だが内面ではすでに破綻に陥っているような家庭が、今後の日本にもあと1,2年で普通のように見られるようになってしまうのかと思うと、とても絶望的だ。恋愛に一つとして同じものがないように、家族のあり方にも
その家庭その家庭のオリジナリティがあるのだとよく分かった。「普通の家庭」なんていうものは実はないのかもしれない。 2000,6.7
主演 金城 武 深津 絵里 /監督 本広 克行 (群衆劇コメディ) 満足度 3
冒頭の車の中での複線の張り方は良く整理されていて良かったのだが、そこでテンポが止まってしまった。3人組が店内に突入するまでの場面が緊張感に乏しくここで飽きてしまう人もいるかも。特に支店長(大杉漣)と警備員(ガッツ石松)のエピソードは、最後まで「落ち」もなくそぎ落としても よかったのでは?一般的に言って銀行の窓口はもっと緊張感があるのでコメディとしてみても疑問は残る。ただしクラッシュボンバー(渡辺謙)が登場してから緊張感が出てきて人質全員にキャラクターを割り振るあたりではだいぶ盛り上がってくる。気の弱い銀行員(甲本雅裕)がピザを受け取る場面などは 見事に最高潮を迎える。朝になり疲労の影が濃くなってくる頃の場面では、観客も「どう幕引きをするのか?」全く予想がつかない。そしてコメディに似合わない「辛口」の結末が物語を形の上でかなり引き締めたと思う。くせ者揃いの出演者の中で深津絵里が「踊る」の時と比べて非常に「キレイに」撮られていたのが印象に残った。 最後の「今を一生懸命に生きているか?」というメッセージは若干取って付けたようだが胸に響いた若者もいたかもしれない。名作「踊る大捜査線」の次の作品としては名作の名前は汚していなかったと思う。 2000 4.30
主演 デンゼル・ワシントン アネット・ベニング /監督 エドワード・ズウィック (現代版アウシュビッツ) 満足度 3
日本人では今一つわかりにくい映画。イスラム系アメリカ人がテロの容疑者探しで1カ所に隔離されるという、第二次世界大戦中のユダヤ人の迫害が現代社会でもあり得る事を描いている。また、要求も出さないで人質とともに爆死してしまう「中東の人間」の、アメリカ人では
理解しがたい神秘性も込めて描いている。しかし物語的には「社会派」なのか「エンターテイメント」なのかどちらにも徹し切れていない感じがする。またアネットベニング扮する女性の素性が最後の最後まで説明されないため「なんでこの人ここのいるの?」という疑問がずっと残ってしまい
物語に入り込めない欠点になっている。そして、「アメリカの良心」(人間を拷問で闇のうちに殺してはならない・など)役のデンゼル扮するFBIエージェントの生活が描かれていないため感情移入できにくい。
文句をつければツケ放題のちょっと締まらない映画になってしまった。見所はラスト近くのブルースウイルス扮する将軍たちとFBIが拳銃を互いに向け合う緊張の場面ぐらいだ。あとバスの爆破の唐突さにはビックリ! 2000,4.15
主演 トムハンクス マイケル・クラーク・ダンカン /監督 フランク・ダラポン (死刑囚房での奇跡) 満足度 4
一口では評価が難しい映画。感動作ではあるが「死刑」「社会」に対するメッセージ物という捉え方もできる。単純にドラマとしてとらえるといくつかの欠点がある。まず、死刑囚がみんな死刑囚に見えない、別の言い方では人間味にあふれる人物として描かれている。
善人、悪人がハッキリしすぎている。何よりも「ジョン・コーフィ」が何で裁判で死刑を宣告されたのか、ちょっと疑問を感じてしまった。
また、ネズミの場面など「ユーモア」の場面の割合が多くて、終盤の感動の場面への導入がやや唐突に感じた。真犯人が同じ房にいたというのもどうかなあ?と思ってしまった。ただ、全体を通じて3時間半の長さを感じさせないおもしろさは十分ある。特に主人公が「職務」で無実の
コーフィを処刑しなければならないと悩む場面などは、非常に胸に迫るものがあった。物語としてはとてもわかりやすく作られているがために、「他に何かいいたいことがあるんでは?」と勘ぐってしまうところだ。百才を越えたポールが同じく長寿のミスター・ジングルスの
元にせっせと餌を届ける結末は、割とのんびりした映画の進行と相まってしみじみした感動が心地よい 2000 4.5
主演 ハン・ソッキュ キム・ユンジン /監督 カン・ジェギュ (韓国製ハリウッド的アクション) 満足度 5
朝鮮分断など割と重いテーマを扱っていながら、ハリウッド風の軽さがあります。ストーリー的にはかなり辻褄が合わないところがあるが、ラブストーリに一本筋が通っていてぶれがない分 安心して楽しめます。冒頭で北朝鮮側の訓練風景を入れたのがアクションに緊張を産み成功しています。特に第8部隊隊長の人物造形がなかなか魅力的で物語に深みを与えています。しかしラストの場面は、理解はできるものの、世の中には愛を取る人と仕事を取る人の2種類 いるのだなあというのを改めて知らされました。娯楽作品として水準以上だと思います。しかし韓国は美女が多いなあ!(整形前のイ・バンヒは川北桃子アナウンサーに似ていませんか?) 2000 3.11
主演 ジョニー・デップ シャーリーズ・セロン /監督 ランド・ラヴィッチ (心理的SFホラー) 満足度 3
空き時間がピッタリ合ったので観てきました。宇宙飛行士の物語かと思ったけど、宇宙の場面はほとんどなく「通信の途絶えた2分間」に2人の宇宙飛行士の身に何が起こったのか?というこの映画の重要な場面を言葉で説明しています。 物語としては前半の進みかたがややもたもたして入り込めません。しかし、奥さんが旦那に疑念を感じたあたりからはテンポがよくなります。ラストで「なるほど」とつじつまは合いますがもうすこし違った作りにしていたらもっと良くなったのでは? という気もします。ホラーに徹しきれず奥さんの心の揺れを描こうとしてどっちつかずになってしまったという感じです。B級映画としては十分合格でしょう。 2000 3.5
主演 ピアース・ブロスナン ソフィー・マルソー /監督 マイケル・アプテッド (荒唐無稽アクション) 満足度 3
新作がかかるとどうしても見に行ってしまう007。ピアース・ブロスナンもようやく007らしくなってきました。今回は「M」が登場する場面が多いなど、従来とはひと味違った作りになっています。 あらすじは後で取って付けたようなものなのであまり重要ではありません。この映画は単純に「すごーーーい」といってアクションシーンを堪能するのがコツだと思います。今回もジェットエンジン付きボート、気球、のこぎり付きヘリなどいろいろ 工夫を凝らしたマシーンが登場します。ソフィーマルソーも十分キレイです。だれが裏切り者か?という複雑さをストーリーに絡ませたものの、成功しているとはいえないようです。でもまた新作が出れば見に行ってしまう不思議な魅力もあります。 2000 2.9
主演 ティム・ロス プルート・テイラー・ヴィンス /監督 ジョゼッペ・トルナトーレ (ドキュメント風ドラマ) 満足度 4
噂通り、嵐の夜、ピアノのストッパーをはずし船の揺れに身もピアノも任し、演奏する1900(主人公の名前)の場面は秀逸でした。船で生まれ船から下りたことのない天才ピアニストの話というだけで、もう成功したようなものでしょう。
しかし、「ジャズを作った男」との決闘の場面あたりから物語が「類型的」になり、少女と運命的な出会いをして船を下りようか迷うところも、今一つ緊張感・切迫感が迫ってきませんでした。
そして1900がタラップを戻ってきた理由は?観客に「なぜ?」と考えさせる材料が少なく、逆に終盤で主人公自身に語らせているあたりにちょっと不満が残りました。そもそも1900程の天才でない私が、彼の行動を理解しようという事自体が
身の程知らずなのかもしれませんね。物語の最後の爆破は「アルマゲドン」を思い出し、外国の映画だなあという感を強くしました。最後の最後にトランペットが戻ってくるのがうれしいです。あと、ジャズ好きの方には劇中の演奏自体も聞きものです。
2000 1.17
主演 ブルース・ウィルス ハーレイ・ジョエル・オスメント /監督 M・ナイト・シャマラン (ホラー風ヒューマンドキュメント) 満足度 5
この映画は冒頭の10分を見逃したら、さっぱり内容がわかりません。また、最後の最後まで見ていないと「声」とキーワードを入手できません。
支配人は残念ながら、「秘密」を知っていて映画に臨んだのですが、なるほど破綻している箇所はありませんでした。第1印象としては「ホームアローン」に似ているなあという感想でした。もちろん内容は全く異なりますが、
子供が主役・物語の発想が新しい・子供が成長しているという点で共通するところがあるのでは?と思います。物語は中盤の静かな場面の連続がやや退屈かという程度で、非常によくできていると思いました。特に少女の霊の恨みを
はらすエピソードと最後に車の中で、母と祖母の話からようやく解り合うエピソードは秀逸だと感じました。少年はクロウ医師の霊によって自分で「現在」を切り開き、医師も結果的に少年によって救われる、といった終盤は映画館を
後にしたとき「暖炉のように」暖かい気持ちにさせてくれます。まちがいなく今年度のベスト3に入る名作だと思います。 1999 12.12
主演 ジョン・トラボルタ マデリーン・ストウ /監督 サイモン・ウエスト (アメリカ合衆国軍隊紹介付きサスペンス) 満足度 3
この映画を観た帰路、交通事故に遭いました。(関係ないですね)
死体が発見されるまでの序盤と、将軍のオフィスに行ってからの終盤が今一つだが、「ジェームス・ウッズ」が登場している間の中盤は一気に見せてしまう迫力がある。エリザベスがなぜああいう格好で殺されていたのかの背景は
かなり丁寧に描かれているが、殺人の動機と真犯人については今一つ納得できなかった。真犯人はこの映画に初めて顔を出したとたんに「こいつだろう!」とわかってしまった。
物語のテーマとしては「父と娘の絆」「アメリカ軍の内情」などが上げられるが、最後の盛り上がりに欠けた分「なるほど!」というところまでは思えなかった。
この映画の予告編で「レイプよりも悪い」とジェームス・ウッズが言う場面があり非常に興味をそそられたが、その答えが「裏切り」というのには少々肩すかしをくった感じだ。予告編の方が出来が良かった? 1999 11.17
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