主演 メリル・ストリープ トム・ハンクス /監督 スティーブン・スプルバーグ (ワシントンポスト紙の歴史的な一日) 満足度 5 おすすめ!
ベトナム戦争がアメリカ本国で批判されていたことは知っていたが、そこからウォーターゲート事件に至り、当時のニクソン大統領が辞任に追い込まれる流れになる前半を学習することが出来た。
物語はベトナム戦争が勝利にほど遠い戦況でありながらそれを隠し、若い兵士を何年間も戦場に向かわせ犠牲者を増やした政府の責任が一発でわかるレポートがニューヨークタイムスに流出したことが発端となっている。
政府はその都合の悪い内容を載せた紙面を発行できないように画策し、真っ先に特ダネを掴んだニューヨークタイムスが発行差し止めの仮処分を受けたため、同じ流出書類を手に入れた主人公キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)が社主をつとめる「ワシントンポスト」が政府の意向に逆らって発行するか否かの決断を迫られる。
この作品の見どころは2大名優の演技だ。メリル・ストリープは「一介の主婦」だったキャサリンが事業家になっていく内面の変化をどう表現するかが見どころで、トムハンクスはアップになるまで本人とわからないなりきりぶりでまずそこに感心した。ラストの裁判所からキャサリンが出てくる場面で裁判所を取り巻く民衆の中の「女たち」がキャサリンを「あこがれの目」で見つめていく場面は印象に残る場面だ。 2018 4.27
「 ちはやふるー結びー 」
主演 広瀬すず 野村周平 /監督 小泉徳宏 (高校最上級生での全国大会へ) 満足度 4.8
下の句がやや中継ぎのような内容でいまいちだったが、本作は3部作の結びとなる良い出来となった。おなじみの瑞沢高校競技カルタ部に新入生が入り、一悶着がありながらなんとか全国大会を目指し日本一に輝くまでを描く。この作品の良いところは青春時代にどっぷりと浸かれるとこにある。部活動・友人・恋愛・受験・進路などエッセンスが詰まっていてその頃の気分が戻ってくる。物語ではちはやのために奔走しカルタ部まで作った部長の「まつげくん」こと真島太一(野村周平)が全国大会を前に休部を申し出るという一大事。それと平行して幼なじみの「めがねくん」(新田真剣佑)が他県から県代表として全国大会に出てきたり、予想通り決勝戦を戦う相手となって立ちはだかるという展開。3部作で登場人物の人となりが描かれているので彼ら・彼女らがいとおしくまだまだ見ていたい作品。今回初登場の周防名人と「おたく」の若宮クイーンは相変わらず良い味を出している。松岡茉優は演技力が著しく上がっていて今後に注目したい。 2018 3,27
「 祈りの幕が下りる時 」
主演 阿部寛 松嶋菜々子 /監督 福澤克雄 (加賀が新参者になった訳) 満足度 4.6
本作は前作の「麒麟の翼」と比べて格段に出来が良い。これまで伏線として語られてきた加賀刑事の実の父との葛藤、その理由となった母の過去が事件のプロローグと共に今回浮き彫りになるように作られている。「事件の鍵はオレ?」と気づくあたりからスピード感が増し、改めて加賀に会いに来た浅居博美(松嶋菜々子)の心情を考えると納得できるものがあった。
唯一意見を異にしたのが博美の父(小日向文世)が焼身自殺をしようとしたところを、かわいそうだからと博美が絞殺した場面。そういう場面に出くわしたことが無いからわからないが、自分の想像力では疑問が残った。そうは言っても一つのシリーズの完結としては理想的な出来だと思う。2018 2.7
「 オリエント急行殺人事件 」
主演 ケネス・ブラナー ミッシュル・ファイファー /監督 ケネス・ブラナー (名作をオールスターキャストで撮ってみました) 満足度 5 おすすめ!
改めて鑑賞して「オリエント急行殺人事件」は名作なんだなあと思った。今回の見所はジョニーデップを初めオールスターの集結とポアロが作中昔の恋人の写真を何度か取り出し思い出に浸る場面。作品冒頭のイスタンブールでの一件は石壁に突き刺したステッキに最終的に犯人がぶつかって捕まるところが「読みの深さ」を感じさせてニヤッとする。またペネロペ・クルスの宣教師役も割と合っていて感心したし、ミッシュル・ファイファーが主役級だったのもうれしかった。 この作品、ポアロは第一の仮説を採用し犯人を罰しない道を選んだが、私も「正義の人ポアロがなぜ第一の仮説を選んだのか?」が釈然としなかった。しかし今回監督ケネスブラナーは例の写真の場面を印象的に挿入することによって「人を愛した想い」を自身の経験に照らし合わせて結論を出したのかも?と想わせてくれたところが秀逸だった。 2017 12 9
「 探偵はBARにいる3 」
主演 大泉洋 松田龍平 /監督 吉田照幸 (北海道観光バディアクション) 満足度 4
適度に笑いもあり、二人の個性発揮の掛け合いに峰子(安藤玉恵)や源(マギー)相田(松重豊)らレギュラー陣とのやりとりも見物でいつのまにかすっかり連続ドラマになっている。今回は相棒の高田(松田龍平)がもってきた「女子大生失踪」に端を発したストーリー。話の深まり方も自然でラスト近くまでは一気に見せるテンポの良さがある。しかし犯人がわかってその動機がせっかく感動的なのに今ひとつ腑に落ちない点が残念。北川景子は 十分美しく撮れていて役割は果たしている。ラストのオチも面白くまだまだ続編が作られそうだ。 2017 12,7
「 あさひなぐ 」
主演 西野七瀬 白石麻衣 /監督 英勉 (乃木坂メンバーとなぎなたの紹介) 満足度 4
このところスポ根物が続いているが偶然だろうか?(ちはやぶる→チアダン→あさひなぐ)今回は最近話題になってきた「乃木坂46」のメンバーを勉強しようということと、同じく聞いたことはあったが詳しくは知らなかった「薙刀」の勉強をかねて鑑賞した。結論から言えば、ももクロの時(幕が上がる)も感じたがなかなかどうして鑑賞に堪える出来映えで、十分面白く見ることが出来た。 主人公の東島旭役の西野七瀬は物語を回す役で若干損をしているが、相手役の宮路真春役の白石麻衣はその個性に忠実で印象に残るたたずまいだった。他のメンバーも知ることが出来たのは収穫だったし、やはり寿慶役の江口のりこは物語を締める役にも増して自身も十分印象に残ることに成功していた。勢いのある若手グループとスポ根ものの組合わせの相性は良いのかも知れない。続編が出来れば見に行ってしまいそうだ。2017 10.7
「 チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜 」
主演 広瀬すず 中条あやみ /監督 河合勇人 (夢と努力とチームワーク) 満足度 4
実際にあった福井商の話を元にしている。チアリーディングとチアダンスの違いも劇中に説明があり、(チアダンスはアクロバッティックな部分を無くしダンスに特化したもの)勉強になった。広瀬すずは「ちはやふる」でもそうだったが、スポ根もので光るヒロインだ。今作もこれも「ちはやふる」に続いて真剣佑とのコンビで息の合ったところを見せ、こちらも安心して見ていることが出来た。 実話に基づいているし、タイトルで「全米制覇」とか言っちゃっているので結末がわかっているハンデがあるが、わかりやすく終盤に向かって盛り上がっていくところは楽しい。今作で部長を務めた中条あやみがうまくはないがなかなか存在感ある演技を見せていたのが見つけものだった。 2017、4。27
「 パッセンジャー 」
主演 クリス・プラット ジェニファー・ローレンス /監督 モリテン・ティルドュム (SF場面で孤独を哲学する) 満足度 4
近未来、地球からの移住を目的に乗客5000人を乗せて120年の航海に出た宇宙船アヴァロン号。その中の一人エンジニアのジム(クリス・プラット)はなんらかのアクシデントで90年も早く一人だけ冬眠から冷めてしまう。それは広い船内の中、人間一人だけでこの先90年間生きていくことを意味していた。ようやく人間を見つけるがそれはアンドロイドのバーテンだった。1年間一人の生活を送っていたがあるとき冬眠中の若い女性「オーロラ」を見つけ、あまりの美しさから「一緒に時を送りたい!」という衝動に駆られてしまう。結局彼女を途中で目覚めさせるという罪を犯すが、あるときそれが彼女にばれて・・・というストーリー。この部分の葛藤はスクリーンでも詳しく描かれていてこの作品の主題の一つになっている。自分だったら耐えられるか?と考えずにはおけないエピソードだ。ヒロイン「オーロラ」役のジェニファー・ローレンスは主人公が「どうしても起こしたい!」と思わせるほど美しく魅力的に撮られていて十分説得力はある。 彼女は「ハンガーゲーム」の時から見かけてはいたがこれまでノーマークだった。すでにアカデミー賞女優ではあるが、オーロラ役を可憐に演じていて今後注目したいと思った。 2017 5.2
「 3月のライオン 後編 」
主演 神木隆之介 有村架純 /監督 大友啓史 (高校生棋士のタイトル戦初挑戦まで) 満足度 4
後編は前編と比べてやや将棋界から離れ、ひなた(清原果耶)のいじめ問題や家を捨てた父親(伊勢谷友介)と一緒に暮らすかの問題など、主人公の周りを描いている。ドラマとしてはまとまっているがその分「将棋界」の事が薄まりマイルドになっている。宗谷名人(加瀬亮)のエピソードも今作品中では大きな意味を持っていなかった。見せ場である3姉妹を守りたい故に父を3姉妹の目の前でこき下ろしてしまうなど、「素顔は不完全な高校生」と描写されていたところが印象的だった。物語はちょうど挑戦者になり対局が始まったところで終わったので今後も続編が期待できる。 2017 4.27
「 3月のライオン 前編 」
主演 神木隆之介 有村架純 /監督 大友啓史 (棋士しか選べなかった青春) 満足度 4
小さい頃両親を事故で亡くし「君、将棋好きか?」の一言で棋士・幸田の家族の一員になった桐山零(神木隆之介)。彼の棋士としての成長と取り巻く人々との関わりを描いている。特筆されるのは対局場面の迫力。特に島田(佐々木蔵之介)ー後藤(伊藤英明)戦は「おやつタイム」も含めて緊張感がこちらにも伝わってくる。
登場人物が個性的でしかも悪人がいないのも好ましい。高校教諭林田役の高橋一生も珍しくさわやかな役で、二海堂(染谷将太)とともにいい味を出している。有村架純の屈折した役も見所。零が「将棋しかねえんだよお!」と叫ぶ名場面は「愛と青春の旅立ち」の「俺には戻るところがないんだ!」のリチャードギアを思い出させる熱演。全体的にはやや説明的だったが「前編」ながら一本の作品としても成立している。 2017 4.7
「 マイ・インターン 」
主演 アン・ハサウェイ ロバート・デニーロ /監督 ナンシー・マイヤーズ (理想のダンディな後期高齢者像) 満足度 4
電話帳の編纂会社で部長までやって定年退職した70歳のベン(ロバート・デニーロ)。無職・やもめの気楽さから旅行などで時間を埋めてみたものの、物足りなくなり一発奮起しもう一度働き先を見つけることにする。そしてジュールズ(アン・ハサウェイ)が社長を務めるインターネット通販系のアパレル会社に再就職のためインターンとして採用される話。この映画で描かれているデニーロは男性から見ても「お手本」になる理想のシニア。支配人(私)も目指すダンディズムを体現している存在に描かれている。ストーリー的には大それたことは描かれないが、ベンが皆に好かれていて相談される存在になっていくところは、うらやましく思うと同時に、なかなかそんな人はいないだろうというやっかみも感じる。ボスの家庭問題まで解決し会社の方向性まで導く役は出来すぎの役。ただジュールズに恋愛感情を持たないのは 不思議な気がした。フィオナ(レネ・ロッソ)の登場はあるけれども・・・。粋なロマンチックコメディです。 2015 11.22
「 劇場版・MOZU 」
主演 西島秀俊 真木よう子 /監督 羽住英一郎 (内容よりも「スタイリッシュさに徹する事」を貫いた映画) 満足度 4
TVシリーズから全放送既観。それでも内容がいまいち頭の中で整理されていないほどストーリー展開が理解されていないのはなぜ?こちらの頭が悪いのか?今回はシーズン2で妻(石田ユリ子)が裏切っていなかったことが分かり、明星(真木よう子)の父も潜水艦とともに沈んだ?ことで落着したのでまだ解決されていなかった「娘の死」の真相に迫る内容・・・だと思うたぶん。ただ今回もストーリーよりも松坂桃李・長谷川博己の「悪役」がデフォルメされ過ぎていて、見終わった後でも彼らの姿しか残っていない。悪くはないが結局内容よりも「MOZUの映像美」を堪能する事を目的にした作品だったと思う。 2015 11.7
「 天空の蜂 」
主演 江口洋介 本木雅弘 /監督 堤幸彦 (原発に関心持とうぜ啓蒙映画) 満足度 4
まずは、東野圭吾がこの作品を20年前に上梓していることが驚き。映画以上にそこが鑑賞後一番感心したこと。さて、作品は「ビックビー」という最新鋭の大型ヘリをテロリストが乗っ取り、原子力発電所の上空でホバリングさせ「全国の原発の停止を求める」という事件が発生するという導入。その間に親子の情愛や原発の問題をちりばめなかなか骨太な作品となっている。しかしスタートの大型ヘリが盗まれるところから、突っ込みどころも満載で、あまりこだわってみていると映画に入り込めなくなるおそれあり。娯楽映画として及第点。ただし若手の刑事が刺されて死ぬ場面はどういう必要性があった? 2015 9,23
「 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 」
主演 トム・クルーズ レベッカ・ファーガソン /監督 クリストファー・マッカリー (廃部の危機に団結する部員たち) 満足度 4
よくできているし丁寧な作り。冒頭のジェット機につかまるアクションでつかみはOK。その後のストーリーもたぶん中学生ならわかるぐらいの素直な展開でクライマックスを迎えていく。敵か味方か?の女スパイ・イルサ(レベッカ・ファーガソン)も美人でかっこよく見事に相手役を務めあげている。難を言えば「ちょっと長い」事。わかりやすさを追求するとなかなか尺を切れなくなるものだが、これはどちらを優先するかだろう。なんといっても「スパイ大作戦」のテーマ曲がかかるとワクワクしてしまうので十分楽しめました。 2015 8.22
「 HERO 2015 」
主演 木村拓哉 松たか子 /監督 鈴木雅之 (元ヒロインを必死で支える新レギュラー) 満足度 4
前作に比べるとスケール感においてTV版でもよかったのでは?といった内容だが、「娯楽作」としては十分合格点を与えられる。この作品はTVシリーズで元ヒロインを務めていた雨宮事務官(松たか子)が検事になって事件がらみで城西支部に出張してくるお話。現ヒロインの麻木(北川景子)は完全に助演に回っていて「ひょっとして、ヒロイン交代するのでは?」というほど松たか子が活躍する展開になっている。事件のカギを握る治外法権である大使館に徐々に近づいていくストーリーもわかりやすく、だれでも楽しめる作りになっているのはさすが。ペタングにもくわしくなれた。しかし持ち駒の「大駒=雨宮」を使ってしまったので次回はどうする? 2015 8.17
「 ビリギャル 」
主演 有村架純 伊藤淳史 /監督 土井裕泰 (劣等生の慶応合格までの奮闘と家族の再生) 満足度 5 おすすめ!
鑑賞前から、主人公の女の子はなぜ慶応大学に合格できたのだろう?と仮説を立てていたのだが、「エスカレーター式高校の中学入学以来、勉強をした経験がなかったので成績がビリだったが、いざ目標を定めると、素質もあり努力できる才能もあったから」という結論になった。人の才能というものはなかなかわからないものだ。この作品が素晴らしいのはラスト近くで主人公が「あとは運を天に任せるだけ!」と発する場面があるのだが、30有余年まえに「そういえば自分も当時同じようなセリフを発したなあ・・」と思いだし、しかもその時の「心持ち」(やることはやった・・・という清々しい感じ)まで思い出せたことだ。優れた恋愛映画を見ると、当時のドキドキ感までよみがえらせることがあるが、それと同様の感覚になった。そしてなんといっても、主演の有村架純が「役柄の魅力と自身の持つ素直さ・純粋さ・潔さが相乗効果となり魅力倍増していること」だ。脇役も好演していて部長としては妹が母のいない流し台で一人食器を洗っている姿が「受験は家族一丸」という昔話を思い出させて印象に残った。 2015 5 27
「 アメリカン・スナイパー 」
主演 ブラッドリー・クーパー シエナ・ミラー /監督 クリント・イーストウッド (イラク戦争で活躍した狙撃手の目を通した戦争) 満足度 4
イラク戦争で「伝説のスナイパー」として有名なクリス・カイルの自叙伝を曲者・イーストクッドが監督して映画化した作品。愛国心に燃えてナイビーシールズに入隊した主人公・クリスは、狙撃手として戦地で敵を撃つ行為をどう正当化したのか?しかしそれでも派兵されるたびに精神をゆがめていく有様が丁寧に描かれ、独特の戦争映画になっている。戦争そのものを単純に批判するのではなく、派兵された一人を通してその家族への影響、敵の生活、戦地での様子などをドキュメンタリータッチで描き、鑑賞者に考えさせる作りになっている。戦地に赴くことによって、多くの一般の人間では精神的に持たないことが(正常では居続けられない)十分感じられた。「心も戦地から戻そう」と奮闘する妻の献身ぶりも印象に残った。また一つ戦争映画の名作が誕生した予感。 2015 3.17
「 幕が上がる 」
主演 もも色クローバーZ 黒木華 /監督 本広克行 (高校演劇部、部長と仲間たち) 満足度 4
大学生時代、学園祭で戯曲の台本を執筆した経験とバスケ部の部長をした経験が鮮やかによみがえった。高校生活の繊細な部分をよく描き出していてアイドル映画と軽く見ることができない完成度がある。ストーリーは3年生の引退で部長になったさおり(百田夏菜子)は年一回の演劇部の地区大会で「優良賞」という「参加賞」をもらうだけの結果を「負け」ととらえていた。しかしどう運営していったらわからずにいたところへ「学生演劇の女王」と呼ばれていた新任の吉岡先生が着任。そこから「全国大会を目指す」部活が走り出していく・・・。モモクロの5人がなかなか上手で女優さんをしている。しかし黒木華が出てくるとスクリーンが落ち着きさすがの存在感を見せる。残念?ながら一番印象に残ったのは黒木華だった。新任で入って夏休み後には教師を辞めているというとんでもない先生なのだが、「なんか納得できる」という気になるのはすごい説得力だ。鈴木砂羽並みの気風の良い女教師ぶりが心地よかった。
「見終わった後元気が出る」という面でも、ももクロらしい作品。 2015 3.7
「 KANO 〜1931 海の向こうの甲子園〜」
主演 永瀬正敏 坂井真紀 /監督 マー・ジーシアン (戦前の日本統治中の台湾からの甲子園球児) 満足度 4
「アゲイン」と並んで、高校野球ファンとしては見逃せなかった一本。日本統治下だった台湾から夏の甲子園大会に初出場を果たししかも準優勝まで勝ち進んだ嘉義農林高校の実話をベースに脚色を加えた物語。3時間の大作でやや甲子園にたどり着くまでが冗長な気もするが、そこを丁寧に描いたからこそ終盤の盛り上がりが説得力を持てた気もする。この作品の良い点は「ちゃんと高校野球をしている」という事。経験者をキャストにしたのだろうが、そこは成功している。鬼監督役の永瀬正敏も寡黙ながらうまく「釘とパパイヤ」の話も納得できる。灌漑設備の話も交え、農業大国の台湾の生活感もよく出ていた。士官となり嘉義農林のグランドを訪れる札幌商のエースの逸話も感動的だった。高校野球ファンなら見て損はない一本。 2015 3.7
主演 中井貴一 波瑠 /監督 大森寿美男 (中年も目指す甲子園) 満足度 4
中年になった元高校球児の甲子園と呼ばれている「マスターズ甲子園」を目指すことになった坂町(中井貴一)を主人公とした物語。、現役時代は暴力事件で出場辞退に泣いた今は失業中の者までいる中年のメンバーを中心に、親子の再生を絡めて甲子園出場までを描く。マスターズ甲子園の本当のメニューにもある「甲子園球場でのキャッチボール」は非常に良い企画だと思った。事務局の大学生で出場辞退の下を作った選手の娘役の波瑠は可憐さが非常によく出ている。今後に期待だ。 2015 2.7
主演 ベン・アフレック ロザムンド・パイク /監督 デヴィット・フィンチャー (怖い女) 満足度 4
妻が大量の血痕を残して自宅から失踪!第一発見者の夫ニック(ベン・アフレック)は当初被害者の夫として世間から同情を集めていたが、愛人の存在が明るみに出るなど次第に「真犯人?」という目で見られていく。・・このあとがなかなか面白いのだがストーリー展開は◎。ラストの余韻は「奇妙な味」。「結婚生活」という今も昔も難解な課題を現実と照らし合わせて振り返ってみる気になる作品。サスペンスとして面白い。 2015 1,24
主演 マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ /監督 クリストファー・ノーラン (時間軸のずれ、親子の葛藤、宇宙の惑星) 満足度 5 おすすめ!
「ゼログラビティ」も見るべき映画だったが、この作品に比べるとシンプル。インターステラー(惑星間)は哲学的で親子の情愛も含まれるエンターテイメントになっている。寿命が迫った地球からの移住をめざし「生活可能」と思われる太陽系以外の惑星の探査に向かうパイロットとその家族のお話。4次元空間のアイデアなどもスクリーンに描かれ水の惑星や氷の惑星も目の前に描かれると、なかなかインパクトがあった。部長としては「2001年宇宙の旅」を見た後と同じような驚嘆・感嘆・はてな?感があった。ポルダーガイスト現象を科学的に?証明したのも面白い。アン・ハサウェイの存在も魅力の一つ。 2015 1.3
主演 新倉健太 若井尚子 /監督 大根仁 (若者の生態覗き見) 満足度 5 おすすめ!
「おもしろい」と評判が高かったこの作品、最初若い9人の見分けがつくかなあ?と心配だったが、9人の個性が半端なく、部屋コンお開きのあたりで十分見分けがつくようになった。この作品が面白いのはドキュメンタリーの面白い部分だけを抜き出したようなリアリティあふれる、しかし力は入っていない演出にあると思う。また「運命じゃない人」と同じような考え抜かれた脚本の存在も無視できない。私は弟が彼女に話す「本命がしっかりしているからこそ二人目に目が行く」理論を、なんかどこかで自分も力説した覚えがあるなあと共感してしまった。(秘密)周りから見たら「アホ」に見えていたかもとこの場面を見ていて反省した。この作品を見て思ったことはまだ20代の人ともお友達になれそうだという自信と、自分は女性陣の中ではトモコ(若井尚子)が好みだという事が分かったことだった。 2014 10、13
主演 サンドラ・ブロック ジョージ・クルーニー /監督 アルフォンソ・キュアロン (宇宙という密室からの帰還) 満足度 4
登場人物ほぼ二人。場所9割がた宇宙。非常にシンプルな映画ながら、映画館でぜひ見たい作品に仕上がっている。これまでの鑑賞記憶では「クルフハンガー」の山岳、「バックドラフト」の炎など、内容はともかく映画館で見た方が良いというか、もっと言えばスクリーンだけ見ていても元が取れる映画がいくつかあった。今作品もその一つ。宇宙空間の途方もなく広く寂しく、静かな「実感」が体感できたような気になってしまう。(良い意味で。)それだけでも見る価値があるが、ストーリーも単調ながら破たんせず、アメリカ映画らしいアイデンティティーの復活の映画となっている。2時間を切る作品ながらキネ旬ベスト2に入った訳が分かった。 2014 10.7
主演 唐沢寿明 福士蒼汰 /監督 武正晴 (スーツアクターの知られざるもの型) 満足度 4
いままでいろんな映画を見てきたが、スタントマンには注目するものの、スーツアクター(着ぐるみの中の人)という職業には初めてお目にかかった。良くできた映画を見ていると、屋上から落下するのも、火の中に突っ込んでいくのも役者本人がそのままやっている気がしていた。しかし良く考えればそれはほんの一握りの腕に覚えのある役者さんだけで、大半は入れ替わっていたわけだ。今作はその普段陽の当たらないスーツアクター(最後に名前も出ない!)集団の主催者を唐沢寿明が演じ寺島進など本当の経験者が演じているところも興味深い。ラストの「本能寺?」の立ち回りは「キルビル」を思い出してしまうが、ふだん斬られることのない松方弘樹が斬られることも含め最大の見せ場となっている。 2014 9 27
主演 大泉洋 劇団ひとり /監督 劇団ひとり (昭和の芸人物語) 満足度 4
見終わった時、序盤の主人公がふてくされている気持ちがわからなかった。どうやら「子供を捨てるような母親と飲んだくれの父親という、どうしようもない両親の子供の自分が成功するわけない」という理屈に逃げていたから?のようだ。うまくいかない理由を他人に求めるという思考回路が無かったので、いまいち主人公の気持ちがわからなかった。しかしタイムスリップ後、「命を懸けて自分を生んでくれた母親、一人で自分を育ててくれた父親」という真実が分かり、逃げ場がなくなった→ちゃんと生きていける可能性が出てきた・・という物語。劇中の芝居小屋の雰囲気が楽しく絵も物語も好感が持てた一品。 2014 6 27
「 相棒ー劇場版V−巨大密室特命係 絶海の孤島へ 」
主演 水谷豊 成宮寛貴 /監督 和泉聖治 (相棒らしさの薄い相棒) 満足度 3
相棒シリーズは過去何本も作られたが、相棒本編の映画版はこれが3本目。スピンオフ作品が多いので、右京さん(水谷豊)がスクリーンに出てくるとかえって違和感がある。物語は自衛隊と警察の組織的摩擦や孤島での活劇など素材はいいものの、「緊張感」に欠け「相棒」の夏休みのような空気感がある。サスペンス感が乏しいのが致命的だ。唯一自衛隊の特殊部隊?に拉致回収される手際の良さが印象に残ったぐらい。本編では退官している三浦刑事(大谷亮介)の「警部殿」のセリフが聞けたのが懐かしかった。 2014 5.7
主演 井上真央 綾野剛 /監督 中村義洋 (証言者で構成する犯人捜しサスペンス) 満足度 4
美人OL(菜々緒)がめった刺しの上、火をつけられた殺人事件を巡って、ツイッターのつぶやきを時間軸として、また被害者の関係者の証言を順番に描くことによって事件の核心へ迫っていく演出方法をとっている。2004年制作の「理由」でも同様の演出方法がとられたが、当時は斬新さはあったが、意欲作止まりで十分消化されていない気がした。しかし10年後となる本作はわかりやすく構成されていた。ツイッターがフューチャーされるのも珍しいが、時間軸に沿って書き込まれていくツイッターがわかりやすさに一役買っていた気がする。証言によって「再現フィルム」のように同じ人物の行動=演技が違ってくるので、出演者の演技力が求められる。貫地谷しほり・谷村美月・蓮佛美沙子などの演技力は前から認めていたが、今回主役の井上真央がなかなか良かった。NHKの朝ドラの主演以来、一歩一歩
階段を上がっている気がした。真犯人にやや唐突感があるが、サスペンスドラマとしてよくできている。原作者の湊かなえらしい、毒も十分再現されている。 2014 4.17
主演 伊藤淳史 仲村トオル /監督 星野和成 (バチスタコンビ最終作) 満足度 4
地下室での集団怪死事件からAi(死亡時画像診断)の導入を巡る駆け引きが描かれる。ストーリー的には大きな破綻もなくまとまっているが、テーマがやや高度だったか?白鳥(仲村トオル)の過去も明かされTVシリーズに出演していた桜宮(栗山千明)も絡んできて、TVシリーズからのファンも楽しめる。ただ病院のコンピューターが全停止してしまうエピソードは現実味が薄く感じた。桐谷美玲はがんばっている。 2014 4 .7
「 トリック劇場版 ラストステージ 」
主演 仲間由紀恵 阿部寛 /監督 堤幸彦 (最初に戻って楽しめるというトリック) 満足度 3
内容が有るような無いような、しかもトリックらしさにも欠ける気がしてちょっと物足りなかった。映画はこれまで3作とも映画館で見てきたが、最初の「トリック劇場版」が一番トリックらしさがあり面白かったように思う。ただ本作はストーリーに破綻がなかったことと、ラストの感動的な場面でなんとかまとめましたという印象。ラストの封筒のマジックは山田(仲間由紀恵)が上田の面接を受ける最初の場面につながり、もう一度
最初から楽しむことができるようになっているという演出だと推察する。 2014 1 27
主演 岡田准一 三浦春馬 /監督 山崎貴 (戦争で亡くなった祖父はどんな人?) 満足度 4
祖母の告別式。母(風吹ジュン)から「今のおじいちゃんは私の本当の父ではない」という衝撃の告白。これを受けた姉弟が本当の祖父(岡田准一)がどんな人だったのか、祖父を知る戦友たちを訪ねてだんだん祖父の人柄に迫っていくというストーリー。残念ながらストーリー展開が読め、「やっぱりこうなったか」という予想の正しさでの満足感はあるが、やや初心者用の展開か?この作品の良い点は非常にわかりやすく
戦時中を描いているという事。祖父の人柄が分かっていくにしたがって逆に湧き出てくる「なぜ特攻隊に志願して亡くなったのか?」の疑問。戦争場面の登場人物が若手の成長株で、取材を受けるベテラン俳優と対比して落ち着いた中にも戦争中の高揚感が出ていたと思う。中でもキーを握る人物だった今の祖父(夏八木勲)の登場シーンがとても印象に残った。決して「零戦カッコイイ」という映画ではなく
戦争中の人間の極限状態を訴えた力作。2013 12.28
主演 福山雅治 尾野真千子 /監督 是枝裕和 (親子の結びつきとは?) 満足度 4
野々宮家・斎木家の異なる二つの家族を通して、親子の関係とは?接し方は今のままでいいのか?と考えさせられる。仕事オンリーの良多(福山雅治)はとてもいやらしい男に描かれているが、それが「ありがちな悪役」になっていないのは福山雅治の個性の良さか?ごひいきの二人の女優さん(尾野真千子・真木よう子)の競演とともに中村ゆりさんも出演されていて、キャスティングはとても満足。私は「血のつながりより心のつながり」と思って生きてきたが、当事者になるとわからなくなるかもしれないなと思った。 2013 10.5
「 風立ちぬ 」
主演(声)庵野秀明 瀧本美織 /監督 宮崎駿(戦時中の青年の生き方) 満足度 3
残念ながら、あまり心に響かなかった。戦時中の航空機作りの天才少年の伝記?のような印象を受けた。少女との恋愛ストーリーは素直で良いが、それと時代背景もあいまってなぜ「生きろ」となるのか今一つわからない。少女も亡くなり零戦も一機も戻ってこないという、主人公にとって生きる望みが二つとも絶たれた時でも「生きろ」という事なのかな?と見当をつけなくてはいけないようではわかりにくい。 2013 8.31
「 映画 謎解きはディナーのあとで 」
主演 桜井翔 北川景子 /監督 土方正人 (緊迫感のない船上サスペンス) 満足度 3
北川景子の美しさだけに的を絞って観賞するのがおすすめ。ストーリーはあるが、観賞後一週間もたてば「そういえば宮沢りえが出ていたな」ぐらいしか残っていない。もともとTV版からして「ライトノベルス」のようなテイストだったのでそのような見方が正解なのかもしれない。ただ、竹中直人・大倉孝二のコメディリリーフコンビをもう少しうまく生かしてほしかった。 2013 8.27
「 真夏の方程式 」
主演 福山雅治 吉高由里子 /監督 西谷弘 (ガリレオの夏休み個人授業) 満足度 4
少年を殺人に無意識に参加させるという「重い題材」を扱っているが、それを主題にはしないで、夏休みのガリレオと少年との個人授業風に描いたのは成功。それにしても風吹ジュンは最近よく使われているなあと感心した。 2013 8.7
「 藁の楯 」
主演 大沢たかお 松嶋菜々子 /監督 三池崇史(のんびりサスペンス) 満足度 3
最近、観賞する映画を事前に学習してから行くのでほとんど「ハズレ」に当たらなくなっているが、この作品は「完成度」としてはとてつもなく低かった。ストーリーも出演者も問題なさそうだったのだが、藤原竜也の凶悪犯が憎らしく見えず、そこがエネルギーになるはずなのに
不発で終わった印象。「悪人」で被害者役だった満島ひかりの「殺されても当然だ!」と思わせる演技がここでの藤原竜也に欲しかった。次に、サスペンスなのに、盛り上がったのはトレーラーがパトカーをなぎ倒して突進してくる高速道路の場面までで、新幹線に乗ってからが失速
してしまった。ちがう監督に撮らせてみたい作品だ。 2013 6 13
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