主演 堤真一 堺雅人 /監督 原田眞人(日航機墜落時の地元新聞社のドラマ) 満足度 4
1985年の群馬県境に墜落した日航機事故。その際の地元新聞社(この映画では北関東新聞社)の動きと全権委任された主人公(堤真一)の苦悩を骨太に描いている。原作は横山秀夫の小説。映画ではこの大事故と、果たせなかった友人との登山(実際は友人の息子)を並列で描くことによって主人公の「クライマーズハイ」を浮き彫りにしているが、この手法が成功しているかどうかが唯一この映画の欠点と言えるかもしれない。映画の内容としては、普段はあまりお目にかからない新聞社の内幕や記者同士のねたみ・反目。また新聞の見出しが決まる様子などが描かれ興味深い場面も多い。支配人としては事件の衝撃も改めて感じることが出来たし主人公のドラマにも一定の感動を覚えた。しかし一番感じたのは 「プロ」としての自覚ということ。新聞記者としてのプロ魂が描かれることによって自分自身の仕事に対しての「プロ意識」を改めて自覚することが出来た作品だった。原田眞人監督は「金融腐蝕列島〔呪縛〕」など男社会を描いた映画を撮らせると抜群の作品を作り上げると改めて思った。 2008 9 17
主演 本木雅弘 山崎努 /監督 滝田洋二郎(納棺師を通してプロの仕事を描く) 満足度 4
地方のオーケストラが解散し、妻と地元に戻った主人公(本木雅弘)がふとしたきっかけで納棺師の仕事に就き、自身の仕事に誇りを持つまでを描く。この物語では主人公の地元山形の風景、納棺の仕事、食事の三つの場面が印象的に登場する。納棺の場面での、主人公の目を見張る立ち居振る舞いはまちがいなくこの作品の重要な核心で、「プロの仕事」ということに対して思いをはせることになった。ストーリーはそれほど突飛ではないが、NKエージェント社長役の山崎努が見事にはまっていて安心してスクリーンを見ていることが出来た。秀作と佳作の中間ぐらいの出来か? キャスティングの見本のような映画。 2008 9,13
主演 (声の出演)山口智子 長島一茂 /監督 宮崎駿(メルヘン調押しかけ女房もの) 満足度 4
いまでも主題歌が耳に残る。人間とお魚のハーフのポニョが、一目ぼれした人間の男の子の彼女になろうと奮戦する物語。大雑把な印象では物語の起承転結のうち「結」がないのでいまいち座りが悪い感じ。それもポニョの運命の一番重要なところを、母親同士が観客に内密に深刻に話し合っているだけしか紹介されないので最後も「感動」に欠ける様な気がする。大波の上を疾走するポニョの画は印象的で元気が良く、ああこの物語は細部を気にするより大胆にメルヘンを楽しめばよいのだと支配人は感じた。 2008 8.23
主演 大泉洋 佐々木蔵之介 /監督 内田けんじ(どんでん返し系推理ドラマ) 満足度 4
監督の前作「運命じゃない人」が際立って面白かったので、新作が出たら必ず見に行こうと決めていた内田けんじ監督作品。教員をしている主人公(大泉洋)が、蒸発した幼馴染(堺雅人)を探しに来た探偵(佐々木蔵之介)に無理やり巻き込まれながら人探しに協力するというあらすじだが、中盤からどんでん返しが続くので、よくよく話の状況を整理してかからないと、ストーリーを見失う恐れがある。突然、主人公と蒸発人がスクリーンに現れる衝撃はなかなかのもの。誰がだましていて誰がだまされているのか??ラストの「やられた!」感はスッキリしているが。ストーリーはいまでもいまいちつじつまが合わない。 2008 7 17
主演 ハリソン・フォード ケイト・ブランシェット /監督 スティーブン・スピルバーグ(同窓会的冒険活劇) 満足度 3
19年ぶりのインディ・ジョーンズは時代背景も近代になって登場人物もそれなりに年をとった設定になっている。しかし前作が「「最後」の聖戦」だったんじゃなかったのかな?作品としては当時はハラハラドキドキした洞窟探検などが、「ナショナルトレジャー」やら他の冒険物のレベルが上がったせいもあるが「既視感」にとらわれてなんかおんなじことやっているという印象が強かった。また過去の登場人物が復活したりして「同窓会的楽屋落ち」も感じられストーリー的にも乗れなかった。まず「原爆の炸裂」「UFOの発進」など消化しきれない事柄も多く残念な感想となりました。 2008 7、14
主演 佐藤浩市 深津絵里 /監督 三谷幸喜(期待が大きすぎた喜劇) 満足度 3
監督のTVでの宣伝が目立ったこの作品、内容はどうだったか?結論から言えば前作「有頂天ホテル」には及ばず、看板倒れっぽい?印象に終わった。「喜劇」のはずなのだが、期待していた「笑いのクライマックス」が中盤のボス(西田敏行)と売れない役者(佐藤浩市)の対面の場面に来てしまうのが早すぎる。(しかしこの場面だけは十分笑える!)その後監督(妻夫木聡)が撮影じゃないことをばらし、序盤から緊張感を持って見続けていられた笑いの構成が崩壊してしまう。「この後どうするのかな?」と思って見ていたら、憧れのスター(柳沢慎一)を登場させ「役者としての感動物」に路線変更していよいよ心情的についていけなくなってしまった。一番なじめなかったのは、全編を通じて「作り物」ということを忘れることがなかったことかな?せめて愛人役が色気のある篠原涼子だったら(なぜ深津絵里?)また違っていたかもしれない。 「笑える」という期待が大きかったせいか、合格点までいかなかった作品となった。 2008 7 6
主演 水谷豊 寺脇康文 /監督 和泉聖治(日本国民を叱るサスペンス) 満足度 4
TVで人気の「相棒」の劇場版。スケールも大きくなっているし、TVの通常版のようにリラックスして鑑賞できるストーリーではない。TVのスペシャル版もそうだがこのシリーズは突然話が難しくなったり、メッセージ性が強くなったりするのが特徴。今回も同様だ。
初の劇場版であるこの作品は、TVキャスターから始まる連続殺人に数年前の外国での人質事件を絡ませて、メインに東京ビッグシティマラソンを持ってきている。主演の二人の個性もキチンと描き込まれており、特に川に飛び込む薫(寺脇康文)の熱さや反目しあっている伊丹刑事とのモーターボート上での協力し合う姿など、TV版の視聴者には胸の熱くなるようなシーンが多く含まれている。難をいえば事件が終結してからの展開がやや長い気もするが、話の中心として出てくる「Sファイル」とはいったいなんだったのか?が最後に明かされるところは見事で「なあるほど」と納得できた。改めて一方的な情報・報道は「疑ってかかる」必要があることを思い知らされた。
TV版とは少々毛色は異なるがクオリティは損なわれていない力作だ。小野田官房長(岸部一徳)との回転寿司の場面は愉快。 2008、6,17
主演 トミー・リー・ジョーンズ ハビエル・バルデム /監督 コーエン兄弟(殺し屋から逃げるサスペンス) 満足度 4
撃ち合いで共倒れとなっていた麻薬取引現場を偶然発見し200万ドルを持ち逃げすることを選んだモス(ジョジュ・ブローリン)。消えた金を取り戻すために雇われた、酸素ボンベを武器にしている殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)。そしてモスの身柄の確保とシガーを捕まえるために二人を追う保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)。ここにモスの妻や第二の殺し屋が加わって上質のサスペンス劇を作り出すことに成功している。
特に殺し屋役のハビエル・バルデムが強烈な個性を体現しており、さすがにアカデミー助演男優賞を獲得しただけのことはあると思わせる存在感だ。ただ似たプロットだったコーエン兄弟の出世作・「ファーゴ」のラストがとりあえずは良かったというイメージであったのに対し、この作品は2008年のアメリカの現状をそのまま描いたというべきか?「救いはあるのか!?」という終わり方なのが後味の中途半端さにつながっている。ラスト近くの
モーテルでの惨劇からラストまでの急展開と保安官が引退を決意する場面の雰囲気の違いが「???」という印象を持った。しかし名作であることは確かだ。 2008 5.31
主演 ジャック・ニコルソン モーガン・フリーマン /監督 ロブ・ライナー(老人の冒険) 満足度 3
余命半年と診断を受けた、大金持ちのエドワード(ジャックニコルソン)と自動車修理工のカーター(モーガンフリーマン)。病院で偶然同室になった全く異なった人生を送ってきた二人が次第に意気投合し「棺おけリスト」に従って、人生で遣り残した体験をするために一緒に旅に出る。スカイダイビングやサーキットを借り切っての憧れの車でのカーレースなどエドワードの財力を背景に次々とリストを消化していく。結局ふたりが「人生で一番大切なもの」は何だと思ったのだろうか?というストーリー。 十分お金を持っているエドワードも、家族に愛され質素に生活しているカーターもお金だけ・家族だけでは満たされていないというところに注目すべき点がある。この作品では「友人」の大切さが描かれているがそれは鑑賞者がひとりひとり考えればよいこと。ただやるだけのことはやったと思いながら死にたいものだと感じるものはあった。二大スターの共演は安定感もあり見ごたえはある。難をいえば終盤からラストまでがあまりに流れが速く、「えっもうエンドロール?」という印象だった。70代になっても それ相当の役が来てこんな作品を撮れるという事はやはり大スターということなのでしょうか? 20085.24
主演(声)高山みなみ 山崎和佳奈 /監督 山本泰一郎(冒険推理アニメ) 満足度 3
子供サービスで春休みに一緒に行ってきました。(去年と同じ)名探偵コナンシリーズも12作目。前作はいまいちでしたが、この作品はどうでしょうか? 前作で不満に感じた「犯人探しの楽しみ」が今回は発揮され、蘭の思い出のメロディが隠し味に使われていたりして大人も満足で切る出来と言えそうです。 ただ、爆破中にホールの中の人が誰も気づかないなんて事があるのかなあ?ってちょっとした疑問はありましたが。秋葉怜子の素直じゃない性格付けが個人的に魅力的にうつり楽しく見させてもらいました。 2008、5,22
主演 マット・デイモン ジョアン・アレン /監督 ポール・グリーングラス(最強スパイの誕生秘話) 満足度 4
ボーンシリーズ3部作の完結編。評価としては1作目が最強。2作目普通、今作普通+。話の内容としてはCIAの非合法プロジェクト(トレッドストーン作戦)をCIA上層部が保身のために秘密を知っていて、しかも作戦の第一号作品であるボーンを亡き者にしようと次々と暗殺者を送り込み、ボーンとのバトルがつづくという感じか?
カーチェイスあり、肉弾戦あり、監視カメラからの逃亡ありと、サスペンスの要素はかなりレベルが高い。また、第一作から出演している女性エージェント・ニッキー・パーソンズがボーンに協力したり、CIA内部でも協力者が出たりストーリーもひねりがある。ただいまいちの評価となったのは、トレッドストーン作戦が想定内の作戦であったため、協力者も容赦なく標的にしたりあれだけのドンパチをするだけのものか?と疑問も残った。
ラスト近くで発泡されて海に飛び込んだボーンの死亡が確認されていないと聞いて「微笑む」ニッキーの表情は氷の微笑みのシャロン・ストーンに匹敵する印象に残るシーンとなった。 2008,4,17
主演 ブラッド・ピット 菊地凛子 /監督 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(一丁の猟銃がつむぐ通じない心の物語) 満足度 4
モロッコ・メキシコ・日本の3箇所での物語を一丁の猟銃という共通項を通して見せる、内面的な映画。2時間20分越えという長丁場もつらいが見終わった後の内容は充実している。コヨーテを撃つための猟銃で観光バスを撃ってしまったモロッコの遊牧民の兄弟。撃たれたのはアメリカ人の夫婦(ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット)。この夫婦は次男の突然死にショックを受け心の傷と夫婦間の傷を回復させるためにモロッコに観光旅行に来ていた。その間子供を預かったのがメキシコ人で不法労働者のアメリア。夫婦が銃撃事件で帰りが遅くなりそのため預かっていた子供をつれて
メキシコにいる自分の子供の結婚式に出席する。しかしその帰り道運転手の甥が国境を突破して3人を草原に置き去りにしてしまう。そしてその猟銃を遊牧民にプレゼントしたのが東京の会社員。その娘(菊地凛子)は聾で周囲の人間と溶け込めず絶えずイラついた生活をしていた。
この3箇所の物語が同時進行的に語られ、一丁の猟銃によってつながっている。言葉が通じないこと、心が通じないこと、そしてアメリカ人の女性は最終的に助かるが、遊牧民の兄が命を落とすという結果を示して映画は終わる。宗教色が強く、考えさせられる映画。菊地凛子はたしかに印象に残る。 2008、4、7
主演 ビヨンセ・ノウルズ エディ・マーフィー /監督 ビル・コルドン(黒人版成り上がり物語) 満足度 4
実在した「ダイアナロスとシュープリームス」を題材に、3人組の女性コーラスが成り上がっていく過程と反対に落ちぶれていく黒人歌手を対比して描き出している。また、それによって変わっていく人間関係を客観的に描いている。劇中歌も粒揃いで後に耳に残る曲が多い。
この作品を見て面白かったところは、ミュージカル仕立てだからということもあるが、登場人物がその場面で思ったことをそのまま歌の歌詞に反映させていて、本来歌というものはそんな風に出来上がってきたのかなあと納得できるところ。一方、物語を引っ張るのはビヨンセの美貌とアカデミー助演女優賞に輝いたジェニファー・ハドソンの圧倒的な歌唱力。また多くの人が指摘しているがエディ・マーフィーの「思ったより」の歌のうまさ。成り上がっていくことによって仲間うちでの人間関係も変わっていくところも見せ、そのあまりの変わりように多少やりきれない思いもあるものの物語としての完成度の高さも感じさせる。
成長した自分の子供を見て初めて事の顛末を理解する男のショットで終了するエンディングが余韻を残す。 2008 3.17
主演 小栗旬 ユースケ・サンタマリア /監督 佐藤祐市(密室内集団推理もの) 満足度 4
自殺したアイドル「如月ミキ」の一周忌にHPの呼びかけを通じて集まった5人。ファンコレクションの話題で盛り上がってくるが一人が「自殺じゃないのでは?」と発言したことから5人の意外な素性も割れ、死の真相にも近づくことが出来た??というストーリー。
序盤はテンションも高くハチャメチャな展開ながら終盤でほろりとさせる演出はさすが。小栗・ユースケ・塚地・小出そして香川と芸達者が集う演技合戦は見ものだがやや「うるさい」気がするのもたしか。中でも小栗旬の演技力には感心してしまった。
映画ファンはいろいろな映画を彷彿とさせる
場面があるので楽しめるのもうれしい。たとえば喪服の5人はタランティーノの「レザボア・ドックス」を、集団で事件の核心に近づいていくところは三谷幸喜脚本の「12人の優しい日本人」古くはヘンリーフォンダの「十二人の怒れる男」を思い出させる。この作品もなかなかの名作だと思うが、前半のテンションの高さと終盤のほのぼの感がうまく感情的に処理できない人もいるのではないかと思うくらい味わいが違うのでそこについていけるか否かが分かれ目と思える。 2008、3,7
主演 カリス・ファン・ハウテン セバスチャン・コッホ /監督 ポール・バーホーベン(レジスタンス内部から見た第二次世界大戦) 満足度 4
結構映画を見ている支配人でさえ、知っている俳優さんは皆無。ただ2007年度キネマ旬報・読者選出ベスト10の10位に入っていたので見てみました。
元歌手でユダヤ人のラヘルはナチスドイツと裏で通じていたレジスタンス風の男にだまされ脱出途中の船上で家族全員を殺されてしまう。そこからレジスタンス運動の一員となった彼女はドイツ軍諜報部大尉のムンツェに近づく。しかしムンツェの身の上と人柄に引かれてしまい、また、レジスタンス内の裏切り者の暗躍に彼女は窮地に陥ることとなる、というのがストーリー。ハリウッド映画で有名なボーハーベン監督はいつもの「大味」が影を潜め、破綻もなく描写も細かくさすがに母国オランダを描く時は一味違うと思わせる演出。個人的には昨年の「ナイロビの蜂」
のような鑑賞後の印象となった。わりと内容が暗いのでまた長い(140分超え)ので見続けるには根気も必要だが見終わった後は感慨も深い。戦争中の人間の動きと戦争後の動きの対比、「裏切る理由」など考えさせられるものがある。主演のカリス・ファン・ハウテンは熱演。とても魅力的に演じている。 2008,2,27
主演 竹内結子 阿部寛 /監督 中村義洋(ユーモアをまぶした手術サスペンス) 満足度 4
医龍・医龍2などTVの世界では病院ものがまた人気のようだが、映画の世界では久しぶりのような気がする。この作品は海堂尊の小説の映画化だが現役の医師の作品だけに臨場感と説得力に満ちている。
連続してバチスタ手術を成功させていたチームが突如として3例連続で術中死に見舞われた。これはたんなる偶然なのか?はたまた手術中の殺人なのか?厚生労働省の白鳥(阿部寛)と不定愁訴外来の田口(竹内結子)が真相の究明に乗り出す、というのが導入のあらすじ。
一つ目の山場の後に二つ目の山場が来て、サスペンスとしては合格ラインの出来栄え。しかしなぜ犯人がわかったか?については素人にはいまいちわかりにくい気がした。ただ印象に残ったのはストーリーがユーモアに包まれていながら内容は非常に重く考えさせるものがあり、見終わった後「面白かったというべきか、考えさせられたというべきか」ちょうどその中間のような奇妙な感覚となった。
作者の思いがこれでもか!と主張される「それでもボクは、やってない」と比較すると違いが良くわかる。こちらは問題を提示して後は観客にゆだねる方式だ。
吉川晃司の執刀医はなかなか合っていて、竹内・阿部のコンビも嫌味までは行っていなくて絶妙な収まり方だった。もうひとつ、この映画を見ると「バチスタ手術」に詳しくなれます。 2008,2,16
主演 ニコラス・ケイジ ダイアン・クルーガー /監督 ジョン・タートルトーブ(宝探し風名所めぐり) 満足度 3
あまり期待しないで見た前作が思いのほか面白かったので、続編を見に行ってみました。たしかに一作目の出来は「続編には出ない」主義のニコラスケイジが主義を破るぐらいの良い出来だったと思います。
さて、本作はリンカーン暗殺者の一味に主人公ベン・ゲイツ(ニコラスケイジ)の祖先の名前があるという証拠が見つかり、その汚名を晴らし真偽を明らかにするために再び探検に出発するというストーリー。あらたに父の前妻役で名優へレンミレンも出演し、父役のジョンボイトともども豪華な配役になっています。しかし今作の難点は「見つけ出さなければならないお宝」が「南北戦争中の財宝」なのか「大統領の日記」なのか途中でぼけてくる点。それに敵役で登場するウィルキンソン(エド・ハリス)が拳銃をぶっ放してきたり、協力者になったりいまいち性格付けがあいまいだったことが挙げられます。それでラストが、スッキリ勧善懲悪なのか
それとも仲間が亡くなって悲しいのか、どちらに感情を動かしと良いのか躊躇してしまい、ベン・ゲイツが大統領に発見者の名を問われたときにウィルキンソンの名を加える「良い場面」も生かしきれていないのが」惜しい。話の内容としては前作に劣らないコンテンツがあっただけに味付けに失敗した印象でした。第三部で巻き返して欲しいと思います。 2007,12,27
主演 堤真一 吉岡秀隆 /監督 山崎貴(町内会の小事件に顛末集) 満足度 4
前作は薬師丸ひろ子と堀北真希の好演で 、見事に昭和30年代の生活と風景を再現していた好作品だったが続編も前作とほぼ互角の秀作になった。まず、前作で一番心に残った、冷蔵庫の時代が来てさびしそうに去っていく「氷屋」さん(ピエール瀧)が本作では「アイスキャンデー屋」となってしぶとく生き抜いている姿が描かれていてまずは一安心。あとはバームクーヘンのように、親戚の女の子が預けられてのひと悶着や、茶川先生と暮らす子供の騒動やら、次々に小事件が 起こっては無事解決という安心してみていられる構成で、監督の性格なのか几帳面に話が進んでいく。最後は茶川先生の芥川賞の話と踊り子のヒロミ(小雪)との復縁なるか!?で大いに盛り上がり大団円を迎える。前作もそうだったが今回も登場人物一人一人にエピソードが振られ、中でもトモエさん(薬師丸ひろ子)と元恋人(上川隆也)との日本橋でのエピソードは前作でほとんど振れられなかったトモエさんの過去が垣間見れて印象に残った。東京タワー・日本橋など昭和の風景も見事に 再現されていて、なかでも作品全般に登場する「おせっかい」すれすれの町内会メンバーの人情が、当時をとても懐かしく思い出させてくれる。クライマックスの茶川先生に駆け込む小雪のスーツケースの置き方だけが気になった(段取りを踏んだ演技に見えた)が好作品。2007,11,7
主演 木村拓哉 松たか子 /監督 鈴木雅之(TV特別編のスクリーン版?) 満足度 4
満足度「4」はぎりぎり。この作品は良い点と悪い点が混在している。良い点はTVシリーズの雰囲気を損なわずに、俳優が豪華・エンターメントの要素あり・愛あり笑いあり。そして一番の柱である「久利生検事」の正義感と事件の大小にこだわらず、そのかわり現場にはこだわる姿勢が
今回も強調されていることでTVシリーズからのファンも安心できるところ。「でも蒲生さん(松本幸四郎)が言っていることはうそじゃないんだよな」のようなセリフに主人公の姿勢がよく出ている。悪い点はいまいち解決までの道筋が(本当に解決したのかな?)「なあるほど!」というほどのカタルシスに欠け、公判場面がやや現実味・緊張感に欠けるところ。うーん、TVの特別編(中井貴一が主人公だったやつ)の方が出来が良かったのでは?
ただ、「踊る大捜査線」同様、おなじみのメンバーがスクリーン上を動き回ってくれるのはうれしいもの。松本幸四郎はまずまず。もうちょっと対決があってもよかったかな。また、「運命じゃない人」で注目した山中聡がクレジットされていたのでどこに出ていたのかなと思ったら「被害者」でした。 2007,10,3
主演 ジョージ・クルーニー ブラッド・ピット /監督 スティーブン・ソダバーグ(詐欺師の復讐大作戦的お楽しみ会) 満足度 3
前作「オーシャンズ12」が楽屋落ちギャグばかりで、おおいに落胆(つまらない&くだらない)と感じたので見に行かないつもりだったのだがわりと評判が良いので、腰を上げてみました。(結果はまあまあか?)物語は仲間の一人がバンク(アル・パシーノ)に
だまされ死に掛けたころから、復讐のために昔の仲間が再集合するというお話。今回は「仲間の復讐」というわかりやすい目的があり、そこから焦点がぼけないためストーリー的な破綻はない。そこは評価。しかしそつがなく登場人物が描かれている
かわりに物語の「意外性」に欠け、残念ながらエンターテイメント作品としての盛り上がりには欠けている印象。女性がエレンパーキンのみというのも娯楽映画としてはどうか?(前作はそれで収拾がつかなくなっていたが・・・)登場人物の豪華さに感動して見ているのが正しい見方かも。
2007,9,1
主演 広末涼子 阿部寛 /監督 馬場康夫(バブル時代と父子の情) 満足度 3
DVDで鑑賞。1991年大蔵省が発令した「不動産融資の総量規制」という通達がバブル崩壊の引き金になったという仮説をもとに、バブル崩壊を阻止し現在の日本国の借金まみれを防ぎ明るい現在に変えるべく広末涼子
が活躍する物語。阿部寛・薬師丸ひろ子・伊武雅刀といった個性的な登場人物に広末涼子が可憐に絡みコメディとしてなかなか良く出来ている。とくにバブル時代の描写は見ていて楽しい。しかしこの物語をどう着地させるか
には脚本家もだいぶ苦労したのではないかと思えるが、残念ながらそれは成功していない。父子の情を絡めてなんとかまとめているがコメディのまとめとしては切れがいまいち。折角素材はよかったのでもう一ひねりさせてもらいたかった。
2007、8,27
主演 ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン /監督 デビット・イエーツ(魔法学校vs魔法省) 満足度 3
ハリーポッターシリーズ第5作。今回は主のストーリーはちょっとお休みして魔法学校内のごたごたと今後の決戦に向けてハリーの応援団づくりの一作。冒頭の場面の内容(里帰り中ハリーが吸魂鬼に襲われた事件)がいまいちつかめず、映画に乗り遅れてしまった。
でも、学校に戻ってからは物語りも歯切れよく進み新しい同級生ルーナの登場やピンクの衣装の先生の登場などあきさせないで見せていく。ただ全体の内容としては決戦前の地盤固めのようでちょっと地味目。過去の作品で
登場したが前作では出てこなかった登場人物もかなり復活しとくにシリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)は今回が見せ場。校長もマイケル・ガンポンに替わってなにか親しみやすくなった印象。(ただし威厳はなくなった。)
主演 ブルース・ウィルス マギーQ /監督 レン・ワイズマン(決死体験で到達する男の友情物語) 満足度 4
ダイハード3に乗れなかった支配人としては、この作品見に行くか迷ったのだが踏ん切りをつけるべく見に行くことにした。しかしこの作品なかなか「面白かった」MIVとともに連作としては巻き返した一作である。
主演 多部美華子 石田卓也 /監督 長澤雅彦(強歩大会でのちょっと良い出来ごと) 満足度 3
恩田陸氏の原作のファンとしては、映画化はうれしいところだが、「ずっと歩いてばかりのストーリーをどう映画のスクリーンで見せる?」と不安もあった。
物語は主人公・貴子(多部未華子)の高校の伝統行事である「夜間歩行80キロ」での出来事を通して、3年生となって同級生となりながらも、ずっと言葉も交わしたことがないなど疎遠だった異母兄弟と交流が、やっと理想的な形で生まれるという、ちいさな感激を描いた作品。
原作にあるいくつかのエピソードは割愛されているが、ほぼ原作に忠実に進んで行き好感は持てる。しかし主人公「貴子」の歩行中の
「願い」など心の揺れるさまがこの作品の愛すべきところなのに、あえて、主人公の独白という形の心の吐露という方法はあえて封印してあるところが驚き。しかしそのせいか、歩きながらも揺れ動く登場人物の心根が
十分伝わってこず、その結果感動の場面が唐突にやってくる違和感がある。
物語の要である杏奈役の加藤ローサや母役の南果歩などはまさに適役で、二人が共演する「あなたたちだけには知っておいてほしいの」の場面は珠玉のシーンだ。
同じ本屋大賞の「博士の愛した数式」と比べると作品自体地味なこともあるが、まじめに作られているだけに「あともう一歩」という印象がぬぐえない本作である。 2007 6.7
主演 トビー・マグワイア キルスティン・ダンスト /監督 サム・ライミ(スパイダーマン2作合併編?) 満足度 3
前二作は、ヒロイン(キルスティン・ダンスト)が気に入らないということを除くと、主人公の人間性が丁寧に描かれ評価が高かった。しかし今作は少し落ちるようだ。敵キャラが二つも出てくる豪華さ、親友の犠牲など今までに比べて劇的要素が
多いもののそれが胸に響いてこない。理由はあまりに主人公ピーターの行動が「軽薄」というか「馬鹿すぎる」としか思えなかったからだ。夢だった舞台を降ろされ悩むMJとのやり取りや、新たな登場人物・警部の娘グウェンとの恋のあてつけも、お決まりの筋書きにとどまっており
残念ながら感動に結びついてこない。折角良い材料を揃えながら、描くべきことが多すぎて逆に消化不良を犯してしまった感覚の今作だ。 2007 5 27
主演 渡辺謙 樋口可南子 /監督 堤幸彦(若年性アルツハイマー患者の生活談) 満足度 3
噂には聞くが、あまり実際の生活が知られていない若年性アルツハイマー病を患ったサラリーマンの日常と、家族の姿を丁寧に描写した作品。原作は荻原浩。
主演(声)高山みなみ 山崎和佳奈 /監督 山本泰一郎(冒険推理アニメ) 満足度 2
子供サービスで春休みに一緒に行ってきました。名探偵コナンシリーズはDVDで子供とよく見ていますが、わりとしっかりした作りで大人の鑑賞にも十分堪えうるものという認識があります。映画館で見るのは初めてですがなぜか「色が汚い!」という
のが第一印象。原色が多かったからでしょうか?やたらベタベタ塗りたくった感じの背景に違和感がありました。それと今回の作品はいつもと違い「犯人探し」というよりも「冒険物」といったストーリーでいつもより子供向け?といった感想を持ちました。「トレジャーハンター」とか学校ではまず習わないであろう
職業?も出てきて、社会勉強にはなったかなと思っています。なお、子供たちは大満足でした。 2007、4,27
主演 加藤ローサ 大泉洋 /監督 佐藤祐市(カーリング入門) 満足度 4
いまや有名になった、女子カーリングチーム。この映画はソルトレーク五輪に出場した北海道は常呂町出身者で固めた「シムソンズ」の結成の物語。トリノ五輪に出場した(小野寺さん、林さん)のモデルとおぼしき登場人物も出ている。
主演 レイフ・ファインズ レイチェル・ワイズ /監督 フェルナンド・メイレレス(知らなかったアフリカ・うごめく愛と陰謀) 満足度 4
こちらも2006年度キネマ旬報洋画41位・読者選出9位に輝いた作品。活動家の妻テッサ(レイチェル・ワイズ)とアフリカ・ケニアで一等書記官として生活するジャスティン(レイフファインズ)。あるとき医師のアーノルドと奥地に向かった妻はそのまま帰らぬ人となってしまう。失意の中で帰国させられたジャスティンは、妻が、製薬メーカーの人体実験に絡み英国政府とメーカーを追及していたことを突き止めるが・・という内容。
主演 オダギリジョー 香川照之 /監督 西川美和(兄弟の関係と裁判の進行がシンクロして「ゆれる」) 満足度 5
2006年度キネマ旬報邦画2位(読者選出も2位)に輝いたこの作品、幸い上田で上映していたので最終日に行くことが出来た。
主演 加瀬亮 瀬戸朝香 /監督 周防正行(日本の刑事裁判の実態告発) 満足度 4
「シャルウイダンス」で日本のエンターテイメント系娯楽作品の代表監督となった周防正行監督が今度はほとんど「ドキュメント?」という痴漢冤罪事件の映画を撮った。これは今までの娯楽系の作品と根本的に違い、監督のメッセージがビュンビュン飛んで来る重厚な作品だ。
主演 木村拓哉 壇れい /監督 山田洋次(江戸時代の夫婦愛話) 満足度 4
TVでもガンガン宣伝が入り、映画会社の力の入れ具合がわかるというもの。映画もなかなかの出来栄え。
SINCE 1997
「 オーシャンズ13 」
「 バブルへGO!!タイムマシンはドラム式 」
「 ハリーポッターと不死鳥の騎士団 」
主人公たちが
青年になって、第一作から見ている観客は叔父さん・叔母さんのようなまなざしで応援してしまいます。 2007,8,25
「 ダイハード4.0 」
今回も1,2作の閉じた空間ではなくニューヨークの街中が舞台。ITで支配されている国家のセキュリティを破ることでITから国家を支配してしまおうという犯人が相手。この最新鋭のテクノロジーを誇る敵に
アナログの代表であるマクレーン刑事がかかわっていく物語。途中のアクションシーンはさすがに見もの。しかし物語の味付けであるハッカーの若者との関係が修羅場を何回も潜り抜けるうちに「男と男の友情」が芽生えてくる
という演出が浪花節的で面白い。東映映画かと錯覚しそうだった。ラスト近くの戦闘機が出てくるところはやりすぎだと思ったが、エンターテイメント作品として推薦できる水準は確保している。 2007、7,27
「 夜のピクニック 」
「 スパイダーマン3 」
「 明日の記憶 」
前半はアルツハイマー病とは?の学習もかねて、薬がない、徐々に進んでいくことなどがドラマの中で語られている。また、当然仕事は出来なくなるので「稼ぎ手」として家族にも負担がのしかかってくる。本人が病気を受け入れるまでと
アルツハイマーゆえの家族との軋轢などが終盤に描かれ、闘病ものとしてはかなりきびしい場面も出てきていると思った。最終的に本人も家族も「こういうことが起こったのも天命」と受け入れられるかどうかだと感じたが、身の回りに起こったら
きびしいなあと素直に心配にもなった。映画としては予想された展開の中に納まったしまっていたのが少し物足りなかった。 2007,5.7
「 名探偵コナン・紺碧の棺 」
「 シムソンズ 」
映画の作りは非常にオーソドックスで、結成、どたばた、解散の危機、再起、クライマックスと進んでいくのだが、同様の傑作「がんばっていきまっしょい」と比べると、ストーリーの抑揚がいまいちで、今一歩踏み込み足りなかったかな?と思われる。
しかし、破綻している箇所は特にないので、ラストに向かっては盛り上がってくる。エンターテイメント系としては合格点の出来栄え。加藤ローサと大泉洋が良く、新人の藤井美菜が印象に残った。 2007,2,27
「 ナイロビの蜂 」
この作品のすばらしさは、妻テッサとの思い出のフラッシュバックと事件の真相がともに絡み合いながら終盤に向かって深まっていく演出力にある。「パートナーを守るとは、巻き込まないことなのか?」それまで庭弄りにしか興味がなく40キロの道のりを歩いて帰る難民を車に乗せようと頼む妻に対しても事務的に拒絶する夫だったのが、終盤救援機のパイロットに逆に熱く訴えかける人間に変貌するところは感動的。
それにしてもアフリカの現状について何も知らなかったことにも自分自身驚かされる映画だった。邦題の「ナイロビの蜂」はなかなか良い出来。 2007 2、12
「 ゆれる 」おすすめ!
この作品を二つの面から論じたいと思う。まず、長編作品監督2作目の西川監督は、「猛獣使いか!?」という感想。この物語の主人公である兄弟役のオダギリジョー・香川照之といった現代の日本映画界を代表する演技派二人に、演技者として最大限の結果を残させている(と感じた)という驚き。オダギリジョーはラスト近くの面会所で兄にイスを投げつける場面、香川照之は弟と会話しながら、後姿で黙って洗濯物をたたんでいる場面、それぞれとっても印象に残る場面だった。
もうひとつはこの作品へアプローチする方法は「地方に残る者と都会に出た者」「兄弟の絆とは?」などいろいろ切り口があると思うが、支配人がこの作品を見て思ったのは「兄弟」「姉妹」の結びつきの強さについて。名作「誰も知らない」で主人公の長男(柳楽優弥)が相談したコンビニの女店員(タテタカコ)に福祉事務所への相談を提案され「そんなことしたら一緒に暮らせなくなっちゃう」と叫ぶ場面。「家族、とくに兄弟の結びつきの強さ、一緒に暮らすことの大切さ」を考えさせられた場面だった。
この「ゆれる」にも違った意味での「兄弟」に対する深い考察がされている。「親子と兄弟」どっちが愛情が強いのだろうか?なんてことを考えると「親子」と比べて「兄弟」には「同じ時代を生きる」という同時性が存在する。そこが親子と違う、ライバルにもなりえれば、助け合いも存在するところかなと思う。
終盤、裁判対策に奔走する弟に 「最後まで人を信じないのが俺の知っている猛だ」と罵倒されて、裁判での証言を翻してしまう弟。この作品のキーポイントだが、母の遺品の8ミリを見て子供の頃は仲が良かったことを目の当たりにし「兄は、どうしようもない俺のことを唯一わかっていた上で付き合ってくれていた」ということに気づく。そしてラスト恥も外聞もなくバス停に沿って「おにいちゃん!」と叫びながら走る姿に兄が微笑みで返すラストが秀逸。
しかしラストを「笑顔」ととった支配人は気分よく帰れたが、「嘲笑」ととった人はどういう気持ちで岐路に着いたのだろうか?その人なりの解釈が可能な普遍的な作品。 2007,2.7
「 それでもボクはやってない 」
監督も「この映画の主役は裁判です」と言っているが、私たちが知らなかった刑事裁判の一番の問題点、起訴されたら=有罪という現実に監督は真正面から「おかしい!」と異議を唱えている。ストーリーもわかりやすく以前の伊丹監督作品のような「ハウツーもの」のようなところもあるので
興味を持って見ることが出来る。そして映画の完成度も高いのだが、支配人は登場人物のせりふがあまりにも監督のメッセージ=言わされていると感じてしまうところがあり、そこのところが大衆映画としてのバランスを欠いていたかなと思ってしまった。しかしこの映画によって「刑事裁判」の知識と
問題点をより多くの観客に知らしめたのは大きな意義あることだといえる。 2007,2.3
「 武士の一分 」
当初は、キムタクが江戸時代の武士に見えず、現代劇のような台詞回しに違和感があったが、中盤には気にならなくなった。特筆すべきは場面は、毒見のお役目中に失明し、自暴自棄になった夫を命を懸けて説得する妻(壇れい)の中盤の山場は見ごたえがあった。二人の演技が、「迫真の演技」というよりも「迫力に富んだ、リアリズムある、すぐそこで行われているような錯覚」があり、見るものの胸を打った。
この映画は、登場人物の配役が、ピッタリきていて(特に美貌の奥方役の壇れい)その時点でもう半分成功している。ストーリーも勧善懲悪でわかりやすく納得できる。ただ、ひとつだけ不満があるとすると、決闘場面で失明したキムタクが勝つ「必然的な技術」が説明不足だったことだ。スクリーンでは刀の鞘を投げ、屋根から切りかかってきた坂東三津五郎を、どうして切ることが出来たのかが、説明不足だ。緒方拳との道場での場面ではまだ完成していなかっただけに、「いつの間にどうやって??」という疑問が残る。ここは重要な場面だけに惜しかった。
ラストの奥方との再会の場面など、感動的な要素が多いだけに全体として丁寧さも感じられ良い出来だった。 2007.1.13
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