「 舟を編む 」 おすすめ!
主演 松田龍平 宮崎あおい /監督 石井裕也(仕事と人生) 満足度 5
中型辞書・大渡海(広辞林クラスの大きさ)を初めて編纂する編集部スタッフの15年にわたる格闘を描いた作品。こう書くと、どこがおもしろいのかわからないが、主人公の馬締光也(松田龍平)の変わり者ぶりとそのこだわりぶりが辞書編纂にうまくマッチするあたりから物語に引き込まれていく。 香具矢(宮崎あおい)との出会いから一緒になるまでのエピソードも適切で、「用例採集」の現場や15年たってその間に死語になってしまう言葉など辞書をめぐる興味深いエピソードが続く。終盤で辞書が完成する達成感やその間の多くの登場人物との死別など人生を感じさせるところが この作品の深さとなっている。オダギリジョー、加藤剛、伊佐山ひろ子など脇役が達者な演技で支えているところも見所の一つとなっている。 2013 4 27
「 相棒シリーズ XDAY 」
主演 川原和久 田中圭 /監督 橋本一(対立は友人関係の第一歩) 満足度 4
相棒シリーズ、今回は捜査一課の伊丹刑事(川原和久)と警視庁サイバー犯罪対策課の岩月彬(田中圭)が大手銀行員の転落死事件から、心ならずもコンビを組む羽目になり、対立しながらもお互いに一目置き信頼関係をはぐくんでいくというストーリー。
物語の背景も、今後起きる可能性がゼロとはいえない赤字国債による国家財政のパンクをバックボーンにしており、現在の兌換紙幣が「紙切れ」になるXデイをメインになかなか説得力ある筋書きとなっている。
しかしラスト近くの札束が街中を舞うシーンは現実感ゼロで、このシーンのみ浮いている気がした。今回は主人公のふたりの他に首席監察官と角田課長のコンビなどいろいろな「相棒」が登場して興味深い。右京さんはワンシーンの登場のみだったが核心部分での登場となり
存在感を出していた。なかなか力の入った作品。 2013 4 17
「 終の信託 」
主演 草刈民代 大沢たかお /監督 周防正行(安楽死は殺人か?) 満足度 4
周防監督は「シコふんじゃった」などの娯楽作から、前回の「それでもボクはやっていない」など、社会派の作品を取るようになってきたらしい。この作品も重度のぜんそく患者・江木(役所広司)の願いから延命治療をやめた医師・折井(草刈民代)が殺人罪に問われる 葛藤を描いている。スクリーンの展開も挑戦的でほとんどが室内の場面。特に終盤は検察の取調室で物語が展開し、観客も取り調べを受けているかのような閉塞感に見舞われる。「安楽死」のような終末医療に正面から取り組んだ意欲作で秀作である。 2012 11 7
「 のぼうの城 」
主演 野村萬斎 佐藤浩市 /監督 犬童一心 樋口真嗣(リーダーの条件) 満足度 4
成田長親という武州・忍城の城主が2000人で2万人の豊臣・石田連合軍と互角以上に戦った史実の映画化。成田長親といえば「光栄」の信長シリーズでも脚光を浴びることもなく、極めて能力(知力・武力)も低めに設定されている目立たない武将だ。
この作品では極めて政治能力には疑問符が付くが、農民と分け隔てなく接し「人気」が高い武将に描かれている。その後忍城の城主となり、能力のある部下に支えられて見事に豊臣の大軍を迎え撃つところが見所。中盤の「田楽踊り」は主演の野村萬斎ならではの
見所で、この映画を印象深いものにしている。期待しなかった割になかなか良かったというタイプの作品。2012 11.6
「 最強のふたり 」
主演 フランソワ・クリュゼ オマール・シー /監督 エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ(気が合う相手に巡り合うこと) 満足度 4
世間では評価が高いためか、平日の昼間に見に行ったが結構観客は入っていた。俗に言う「感動作」のようなだれもが泣けるような場面はない。事実の映画化なのでドキュメンタリータッチで客観的に描かれているので「人生経験が長い方」の方がツボにはまりそうだ。 私の場合は主人公の誕生日のクラシックコンサート(オーケストラを自宅に呼ぶ=すごい!)のあとドリス(オマール・シー)がアースウンド&ファイアの曲に合わせて広間で踊りだす場面がなぜか胸に迫った。腕力は強い強面だが物事を公平に見るドリスと身体障害者 ながら金持ちらしい懐の深さをもつフィリップ(フランソワ・クリュゼ)の人間性に魅力があったため共感を呼んだのではないだろうか 。冒頭のパトカーからの逃走の場面から現在に戻った後のエピソードがちょっと短かったかなあ 2012 10 17
「 アウトレイジ・ビヨンド 」
主演 ビートたけし 小日向文世 /監督 北野武(人情派わるいやつのその後) 満足度 4
前作はコミカルな面もあったが、全体にまとまりに欠けグロイ場面が目立つなど荒削りな面白さがあった。「2」にあたる今作はシナリオが練れており前作よりまとまりはある。総合点でいえばほぼ互角の展開に持ち込んでいる。ただ 落ち目になった山王会の事務所が襲われるところなど前作の焼き直し?と思わせるような既視感におそわれる場面も散見されそこが惜しい。塩見三省の若頭補佐役は一番はまっていた。「馬鹿野郎」「この野郎」の応酬はなぜか見終わった後面白さがこみあげてくる。 2012 10.14
「 鍵泥棒のメソッド 」
主演 香川照之 広末涼子 /監督 内田けんじ(本当の胸キュンを達成するために・・) 満足度 4
「運命じゃない人」で名を挙げ、前作「アフタースクール」で実力を認められながらも「思ったより・・・」と言われてしまった鬼才・内田けんじの最新作。銭湯で頭を打って記憶をなくした人間に成りすました、売れない役者の桜井(堺雅人)は記憶喪失に陥った金持ち風のコンドウ(香川照之)と入れ替わり、生活を始めるが・・・という導入部分。ここに婚活宣言中の、VIP商品を扱う(ここが既に伏線になっている)雑誌の女編集長(広末涼子)が絡み物語が複雑になっていくというストーリー。 相変わらず脚本は納得の出来。しかし今回はやや前半のリズム感が悪く、テンポと物語への引き込み方が弱い。コンドウからお金を盗んでも借金を返して歩く桜井の「憎めなさ」や登場人物の人の好さが目に付く中で、ラストの「肘鉄砲でガーン」と警報装置を止めるインパクトのある動作で物語を引き締めている悪女(森口瑤子)がやけに印象が残る。広末は「ゼロの焦点」の時はあの独特の「ぽわーん」とした演技がサスペンスと相いれずにだめだったが、今回は当初から「筋金入りの変な人」の役なのでうまくはまっていた。逆に主役のはずの堺雅人があまり印象に残らず、主役はどう見ても香川照之にもっていかれている。作品としては十分面白いが「内田けんじ作」 としてはまだまだ「満足」は出せない。 2012 9,17
「 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 」
主演 織田裕二 深津絵里 /監督 本広克行(骨太社会派風コメディ味ドラマ) 満足度 3
前作の「THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」と直前のTVドラマ『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』が、緊張感のかけらもないガッカリ作だったため、いよいよ最後となる本作は心配しながら見に行った。結論から言えば「少し持ち直したかな?」という感じ。ビールを隠すあたりまでは緊張感もあり「笑い」の部分もキレがあった。残念なのは犯人の動機が弱いことと、「せっかくのキャストを悪役にしちゃっていいのかー?」というところ。 すみれさん(深津絵里)の活躍の場面が少ないが、新しいキャストもほどよくスクリーン上に登場しバランスは良かった。解決してからの市民会議?の場面は蛇足のような気がするが、室井さん(柳葉敏郎)がいよいよてっぺんに近づき、ブレインも後輩(筧利夫・真矢みき)が二人付き、警察機構の未来に期待を持たせていると解釈した。いずれにしても下降線から上昇カーブを描いて終わったことは良かったと思う。 2012 9.15
「 あなたへ 」
主演 高倉健 田中裕子 /監督 降幡康男(寡黙なロードムービー) 満足度 3
幸せの黄色いハンカチ以来なかなか健さん主演の映画で当たったことがないのですが(例・居酒屋長治、鉄道員)今回も「良い作品なんだけど肝心の主題が響いてこない」という感想です。もともと寡黙な健さんが主役なんだから、夫に対する昭和のおかみさんのように「察する」という感覚を総動員しなけれないけないのかもしれないが、妻(田中裕子)が主人公・倉島(高倉健)をどう思っていたのか?なぜ結婚したのか?が挿入される過去の場面を見ていてもよくわからなかった。 ラストで今回は丁寧にも「(絵手紙で)さようならと言う事で、これからは自分の人生を生きてほしい」と言っているのでは?と健さんに言わせているが、どうも腑に落ちなかった。サイドストーリーの南原と食堂の人たちのの話がスマートに語られているだけに、肝心の中心がボケているのが自分の認識不足も含めてとても残念。 それにしても共演のダンディな長塚京三さんが「落ち着きのない男」に見えるほど高倉健の存在感は圧倒的でした。2012 8.27
「 臨場 」
主演 内野聖陽 松下由樹 /監督 橋本一(検視官のこだわりの物語) 満足度 3
実はTVシリーズは未見。割と映画評で評価が高くロングラン上映されていたので最終日に見に行ってきた。物語としては面白かったが終了後も???が結構渦巻いていた。犯人の動機が???被疑者の警察官の存在が???でも柄本祐君や若村麻由美さんの熱演で十分堪能できました。刑法39条を扱っているが、最近の作品は犯人が詐病ということになっているのがどうなのかなと感じる。ラストでシャッターの絵を見たときは感動しました。2012 8 17
「 テルマエ・ロマエ 」
主演 阿部博 上戸彩 /監督 武内英樹(お風呂の異文化考察) 満足度 4
まったくナンセンスなギャグ映画だが、不思議に満足してしまうエッセンスをもっている。印象に残ったのは「上戸彩」がとてもかわいく女の子らしく撮られているとゆうこと。原作漫画にはない役らしいが、映画としてみると華もあるし進行役として機能している。濃い顔の日本人がローマ人を演じているのも気にならなくなってくるから不思議だ。また、日本のお風呂文を改めて見直すことができそういった面からも見て損はない一本。 2012 5,27
「 ライアーゲーム・再生 」
主演 松田翔太 多部未華子 /監督 松山博昭(サスペンス風イス取りゲーム) 満足度 4
ヒロインが「多部未華子」に変わり福永(鈴木浩介)がゲームに参加していないなど、TVシリーズとは一線を画した作品。しかしながら映画版の前作「ザ・ファイナルステージ」より出来は良かったと感じた。今回の作品の見所は今までの秋山ー直のような信頼関係の築けていない相手との疑心暗鬼のなかでの共闘。どこが本音でどこが伏線か見抜いていくところが面白い。それにしても毎回複雑なゲームを考え出すのはご苦労なことだと思った。斎藤陽子さんがひさびさに見れたのは良かったけど、芦田愛菜ちゃんが機能していないのが残念。 2012 3.17
「 ALWAYS 三丁目の夕日 ’64 」
主演 堤真一 堀北真希 /監督 山崎貴(茶川先生物語) 満足度 4
登場人物のほとんどみんなが幸せになる安心して見れる映画。2作目がいまいちだった支配人としては今作は起承転結の「結」に当たる部分が多く納得できる仕上がりでした。六(堀北真希)の恋愛話や茶川先生の連載の話など予想ができる落ちでしたが、丁寧に落ちまでもってっていっている気がしました。でも3Dの必要性はなかったんじゃないかな? 2012 2.11
「 麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜 」
主演 阿部寛 新垣結衣 /監督 土井裕泰(なぜ翼像まで歩いた??) 満足度 3
TVシリーズで人気だった「新参者」の劇場映画版。ミステリーの導入部は非常に興味深く、また加賀恭一郎(阿部寛)の推理も相変わらず鋭いのだが、真犯人が「うーーーん!?」と今一つ腑に落ちなかった。動機も弱いかな。しかし伏線の水泳部の話とか被疑者カップル(新垣結衣)の話などは丁寧に作られていて好感が持てた。やはりTVシリーズの「人情話」が好きだったので、今作品はやや毛色が異なったかな。 2012 2、4
「 ロボジー 」
主演 五十嵐信次郎 濱田岳 /監督 矢口史靖(ロボット内爺さん大騒動) 満足度 3
開発中の人型ロボットが大破し、間に合わせで「癖のある爺さん」をロボットに入れて急場をしのごうとしてことから巻き起こる騒動をコミカルに描いている。ここまで書くととても面白そうだが、残念ながらそれ以上にはならなかった。とくに主人公三人組の内面描写が少なくただの進行係になったことと、重要な役のロボットおたくの女子大生(吉高由里子)の行動をうまく描ききれなかったことが大きい。 主役の五十嵐信次郎ことミッキーカーチスは奮闘していて、とくに終了後の挿入曲ミスターロボットのボーカルはやはり昔ならしたミュージシャンという達者感があった。 2012 1.27
「 ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 」
主演 トム・クルーズ ジェレミー・レナー /監督 ブラッド・バーグ(チームリーダーのリーダーシップ) 満足度 4
今回はストーリーに破綻もなく、よくまとまっている。全体の印象としてはイーサン・ハント(トム・クルーズ)が孤立無援の中、チームのみんなをうまくまとめてミッションを成し遂げていくというリーダーの役割が描かれていて「課長さん」クラスにはとってもためになる物語。中でも世界一の高層ビル・ブルジュ・ハリファから「ペッタン」の手袋のみで移動する場面はくらくらしてしまう。ただ事前に「トリビア」のペッタン人形も見ていたので笑いをこらえるのも大変だった。ラストの立体駐車場のアクションも見ごたえがあるし、チームの奮闘にもかかわらず、核弾頭を積んだミサイルが発射されてしまう、しかしそれでも可能性を信じて行動する「決してあきらめない」感じがなかなか深い台本だなあと感心した。 2012 1.17
「 コンティジョン 」
主演 マット・デイモン ジュード・ロウ /監督 スティーヴン・ソダバーグ(ウイルスとネット「拡散」の恐ろしさ) 満足度 4
香港帰りの若妻を起点にして広がっていく新型ウイルスの拡散の軌跡を時間をさかのぼって追っていくミステリー。しかし、物語はそこにツイッターやブログといったメディアのあやうさ、WHOの職員の活躍や機密事項を知り得る者の私欲の罠などを絡めながら現実的に淡々と描く。メディアの間違った情報に踊らされてドラックストアを襲撃するなどパニックを引き起こす庶民の姿が描かれているが、「たしかに現実でも起こりえるなあ」と思わせる怖さがある。 名優が数多く出演しているが、ひとりづつ見つけていく楽しみもある。 2011 12.7
「 ステキな金縛り 」
主演 深津絵里 西田敏行 /監督 三谷幸喜(コメディ法廷劇) 満足度 3
「犯行時刻に金縛りにあっていたことを証明するために、容疑者にのしかかっていた落ち武者(幽霊)を法廷に証人として連れ出す」とここまで書くと、「なんか面白そう!」と食いついてしまう。しかし現実の法廷ではいまいち笑いがはじけず、落ち武者の裏切り者の濡れ衣を晴らそうと主人公(深津絵里)が奮闘し感動ものに移行するもこちらも中途半端で、どちらも突き抜けずに終わった印象。
西田敏行の落ち武者は適役だったが、先輩弁護士がストーリー上の必要から急死したり、まとまりがつかなくなった。 2011 11.17
「 マネーボール 」
主演 ブラッド・ピット ジョナ・ヒル /監督 ベネット・ミラー(クラシック野球vsデータ野球) 満足度 4
お金のかかるスター選手を使わずに、いかにチームを強くするか?日本のプロ野球で言えば広島・ヤクルトあたり、Jリーグでは清水・仙台・甲府あたりのチームが当てはまりそう。このことをいち早く実践したのが映画で描かれるオークランド・アスレチックス。
何らかの理由で埋もれている、年俸の割に実力がある選手を集め、スター選手に育ったら高く他球団に売る。なんとも家畜の売買にも似ている方式だが、現在ではプロリーグの中位チームのセオリーとなっている。
この映画が評価が高いのはその主線に、主人公ビリー(ブラッド・ピット)の生い立ちや家庭環境をうまくちりばめて説得力を出したところ。そもそも題材が面白いので良いところに目を付けた企画の勝利ともいえる。 2011 11。6
「 ハリーポッターと死の秘宝パートU 」
主演 ダニエル・ラドグリフ エマ・ワトソン /監督 デビット・イェーツ(うまくまとめる職人技) 満足度 4
前作が男女関係のもつれに力を入れた?のに対して、今作では整理されロンはハーマイオニーと、ハリーはロンの妹とカップルになり、あとは宿敵ヴォルデモート卿をやっつけるのみというわかりやすい内容。この間にスネイプ先生の悲しい過去の物語が語られネビルが思いのほか活躍したりする。
ラストでその後の姿まで描かれ、いやあ、ようやく終わった感につつまれた。めでたしめでたし。 2011 8.7
「 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 」
主演 前田敦子 大泉洋 /監督 田中誠(高校野球部女子マネージャーの試行錯誤) 満足度 3
言わずと知れた同名小説の映画化。多少の改革で都大会を制するほど現実は甘くないと思うが、ドラッカーの入門書・青春ものと考えれば目くじらを立てるほどでもない。
主人公のみなみ(前田敦子)がマネージャーを受けるまでと、試合場面の臨場感をもうすこし丁寧に描けばもっと盛り上がったと思う。監督(大泉洋)の人物造形ももう少しどうにかしてほしかった。とはいえ青春ものとしては「可」の出来栄えはある。 2011 7.16
「 英国王のスピーチ 」
主演 コリン・ファース ヘレナ・ボナム・カーター /監督 トム・フーバー(英国史学習) 満足度 4
1930年代のイギリスを舞台に父ジョージ5世の後を継いだ兄・エドワード8世とのやりとりや自身がジョージ6世として王室を継承するころの時代。ストーリーは、吃音がもとでスピーチが大の苦手なヨーク公(コリン・ファース)が怪しげなスピーチ矯正師・ローグと出会い心を通わせていく
までをコメディタッチも含めて描いている。迫りくる戦争を背景にした時代の王室のドラマなのだが、「王室も家族の問題があるのだ」とファミリータッチで描いてくれたことが楽しい。ラストのスピーチまで大きなドラマはないが、見終わってからも結構エピソードを覚えているところがやはり良い演出だったということを証明している。 2011 4.9
「 SP革命編 」
主演 岡田准一 堤真一 /監督 波多野貴文(意味ありげなアクション) 満足度 4
東日本大震災と公開時期が重なって、いまいち話題にはならなかったがよくできている秀作。アクションは宣伝通りなかなかの見もの。難を言えば井上(岡田准一)の上司・尾形が(堤真一)敵になったり敵の邪魔をしたりの心の動きが、寡黙すぎて観客が付いていけないところか。
国会議事堂の守衛は拳銃を携帯していないことは勉強になった。続編の可能性を残すラストに期待も残る。 2011 3.26
「 ナルニア国物語/第3章・アスラン王と魔法の島 」
主演 ジョージー・ヘンリー スキャンダー・ケインズ /監督 マイケル・アプテッド(絵本の中に入って冒険) 満足度 4
お子様に付き合っての映画鑑賞。1も2も見ていないので無茶なと思ったが、結構問題なく見られた。1,2で活躍した子供たちは「大人」になってしまって、ナルニア国に行けなくなってしまったようだ。今回は主人公兄妹と嫌われ役の従兄がナルニア国へ。ネズミ戦士と前作でも出ていたカスピアン王子とともに活躍する。
正統派の冒険物語で親子でも十分楽しめる。 2011 2.27
「 ソーシャル・ネットワーク 」
主演 ジェシー・アイゼンバーグ アンドリュー・ガーフィールド /監督 デヴィット・フィンチャー(フェイスブックのできるまで) 満足度 4
支配人も登録している「フェイスブック」。このサービスがどのようにしてでき、広がっていったかがよくわかる。もちろん「彼女に振られた腹いせから」というストーリーは100%信じることはできないけど、メジャーになってきた背景とメンバーの集合離散はなかなか良く書かれていた。
また、映画としての魅力も、主人公の性格付けと見た目の印象で成功しているようで、ぐいぐい引っ張っていかれる。フェイスブックの基礎常識として見ておいても損は無い。 2011 3.7
「 息もできない 」
主演 ヤン・イクチュン キム・コッピ /監督 ヤン・イクチュン(その男、凶暴につき+竜二) 満足度 4
借金取立てを生業とする男が、女子高生と知り合いお互いの絶望的な家庭環境を抱えながら徐々に近づいていくが永遠の別れがやってくるというストーリー。
この映画はストーリーは単純だが、とにかく見境無く他人にビンタするチンピラ家業の主人公の男が、最初「どうしようもないやつだなあ」という感想から「結構いいヤツかもしれないけど不器用すぎるなあ」に変わってくるあたりが見もの。秀逸な人間ドラマ作品と言える。 2011 2 27
「 アンストッパブル 」
主演 デンゼル・ワシントン クリス・パイン /監督 トニー・スコット(激突!電車版) 満足度 4
いままで、電車が暴走する映画はいくつもあったが、この作品は余計なものをそぎ落としているだけにストレートに暴走の迫力が出ていて小気味良い。主人公二人組の背景話を最小限にとどめ電車の暴走の様子と「どうやって止めるか!?」に絞っているところが成功している。善人・悪人もわかりやすく描かれ、ラストで善人が報われるサスペンス映画のお手本のような出来だ。 2011,1.17
「 武士の家計簿 」
主演 堺雅人 仲間由紀恵 /監督 森田芳光(チャンバラの無い時代劇) 満足度 4
いままであまたの時代劇はあったが、必ずラストで「決闘」だ「斬り合い」だとなったものだったが、この作品は刀を抜く場面が出てこない。なかなか考えた作品となっている。「算盤でご奉公」というのは考えてみれば現代の経理部のようなものだから江戸時代にもあったはず。面白いところに目をつけたものだ。
ストーリーは3部構成になっている。藩の不正を見つけるところ、貧乏を乗り切るところ、明治に時代が変わるところ、だ。ここが有機的に繋がっていないのが惜しい。堺雅人は相変わらずの雰囲気を出し映画を引っ張っているが、仲間由紀恵が「うまい」演技を見せていて認識を新たにした。また中村雅俊の持ち味がうまく発揮されている。
まとまり的に物足りないところはあるが「面白い作品を見た」という感想は満足できるだけのものだ。 2011 1.7
「 相棒劇場版U 警視庁占拠!特命係の一番長い夜 」
主演 水谷豊 及川光博 /監督 和泉聖治(ハリー版「ジャンパー」) 満足度 4
そういえば前作の相棒はまだ「特命係のカメヤマ」だったのだと思うと、月日の流れの早さを感じたりする。本作ではもはや神戸警部補(及川光博)の相棒ぶりに違和感は無く、安心して楽しめる。ストーリーの要所には「それはいくらなんでもないだろう!」という箇所もいくつかあるが全体的にはわかりやすくサスペンス感もあり充実している。
ラストで本当に官房長が亡くなってしまったらしかったのもこの作品が持つ「思い切りの良さ」の一つが発揮されたものと思うと納得できそう。 2011.1.3
「 ハリーポッターと死の秘宝 パート1 」
主演 ダニエル・ラドグリフ エマ・ワトソン /監督 デビット・イェーツ(ハリー版「ジャンパー」) 満足度 4
ハリーポッターシリーズも第7作。よく7作も付き合ったものだ。宿敵ヴォルデモート卿の復活を示した前作「謎のプリンス」からの続きなので、家族を捨てての背水の陣といういきなり大変な場面からスタートしている。また、6作を通して敵か味方か?と推測してきたスネイプ先生の裏切り、同じく敵側に附いた元同級生ドラコ・マルフォイの葛藤など連続して見続けているファンには感慨深いシーンも
ちりばめられている。5,6、7作と監督が同じせいもあるが、演出が安定していて落ち着いて楽しめるのも良い。後は最終作を見に行くだけだ。 2010 12 8
「 SP野望編 」
主演 岡田准一 堤真一 /監督 波多野貴文(過剰防衛SP劇) 満足度 4
TV版は悪役が賢く・強くそこが魅力であったわけだが、この映画版もそこは踏襲している。しかし本当の悪役の顔が特定されないためインパクトには欠ける。それにTV版を見ていないと???な部分も非常に多かったのでは?主人公の井上(岡田准一)のアクションシーンは宣伝の通りなかなかのもの。ただ冒頭の追跡劇は長すぎた気もする。紅一点の笹本(真木よう子)
も「矢ガモ」になりながらがんばっている。最近NHK朝ドラで売り出し中の山本(松尾諭)も地下鉄改札口などのコミカル部分を受け持ちいい味を出している。しかし連作の一本目ゆえの物足りなさは残った。 2010 11 27
「 十三人の刺客 」
主演 役所広司 市村正親 /監督 三池崇史(残酷パワー時代劇) 満足度 4
話はわかりやすく、松方弘樹・松本幸四郎・平幹二朗などオールドファンにも配慮をし派手な爆発・残酷な描写など三池ワールドも遺憾なく発揮した力作。特に敵方の御用人・鬼頭半兵衛(市村正親)が良く、年末の賞レースにかかわりそう。
バカ殿役の稲垣吾郎も個性が奇妙な味となって印象に残る。また、そのセリフが常軌を逸しているが結構理にかなっている部分もあるところが恐い。出来れば市村さんを最後までとっておきたかった。 2010 10.7
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